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中韓では、日本に関する記事が好対照である。韓国は相変わらずの「反日記事」を見るが、中国では全くそれが消えていることだ。

 

昨年2月まで、中国の官営メディアは日本に「訓戒」を垂れていたものだ。日本が、真に日中の友好を促進させたいならば、それに見合う誠意を見せろ。随分と高飛車な姿勢であった。それが、3月以降は、ピタリと止まった。米中対立が抜き差しならぬ泥沼に入っていたのだ。こうなると、中国の「転進」は早い。一気に、日中友好ムードへ流れた。

 

中国官営メディアは、対日戦略で高姿勢であった。中国の訪日観光客が増えると共に、民間の日本批判は、引潮のように跡形なく消えた。中国の有名な「愛国青年」が、周辺で日本旅行の感想を得意げに話すのを聞くことに我慢できず、ついに訪日観光団に加わったという。その後日談が、中国メディアで紹介されていた。「日本へ第一歩を踏み入れた途端、これまでの反日教育のウソを見抜いた」というのだ。

 

中国の訪日観光客は、多くがリピーターになっている。これが、雪だるま式に中国人観光客を増やしている理由であろう。その裏には、70年にわたる「反日教育」の欺瞞からの解放が、大きな訪日旅行の推進力になっている感じが強い。

 

『サーチナ』(2月19日付)は、「数十年かけた反日の宣伝もたった1度の訪日で吹き飛ぶ、その理由は?」と題する記事を掲載した。

 

日本旅行で外国人が感心することは多くあるが、なかでも治安の良さには中国人も感服するようだ。中国メディア『今日頭条』(2月17日)は、「落とし物が盗まれない世の中が今も残っていた」と日本の治安の良さを伝える記事を掲載した。記事の筆者である中国人旅行客は、ガイドを務めてくれた日本在住の中国人が、日本を褒めそやすことにも驚いたそうだ。

中国には、「夜には戸締りもせず、落としたものは返ってくる」という言葉がある。有名なことわざながら、ほぼ実践されていないのも事実だ。しかし日本では、物が盗まれることは少なく落とし物も返ってくるので、中国人を驚かせているようだ。

(1)「記事の中国人筆者は、今回の日本旅行で、日本の治安の良さを感じたという。日本に10年以上住んでいるというガイドの中国人男性から、置き忘れた1カ月分の給料の入った財布がそのまま残っていたという実体験も含めながら、日本では本当に「落とし物が返ってくる」ことや、スリが少ないので「ファスナーのないバッグ」を使用することさえ可能だと聞いたと伝えた。日本の女性は中が見えるほど間口の広いバッグが普通に使っているが、中国では考えられない光景だ」

(2)「中国人筆者も、中国では誰かがバッグに触れると「すぐにその相手を目で追いながらファスナーが閉まっているかチェックする」と、常に自衛していると指摘。出先でファスナーの閉め忘れに気が付くと「頭が真っ白になる」ほどで、道行く人も「表情は険しく、他人を疑う目をしている」と、中国の現状を伝えた」

(3)「同時に、ガイドの日本を称賛する言動は気になったという。たびたび日本の治安の良さを「誇らしげ」に伝えるので、まるで「マナーがなっていない泥棒ばかりの国から来た人」扱いされているようで少々居心地が悪く、また愛国精神からするとどうなのか心配になったとも綴っているが、筆者自身も日本との格差を実感しているようだ」

(4)「この記事に対して寄せられたコメントを見ると、「日本に行って日本を称賛しなかった中国人はいない」、「数十年かけてきた反日の宣伝が、一度の訪日で吹き飛ぶ」など、訪日の与える影響の大きさを伝える声が多かった。実際に日本を体験すると、多くの中国人は日本を称賛しないではいられなくなるようだ」

 

中国政府は、今も荒唐無稽な「反日ドラマ」をTVで流しているのだろうか。中国が、日本との友好を真に願うならば、反日教育は中止すべきである。反日教育を続けながら、日中友好を説くのは矛楯している。