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韓国では、朴槿惠・前大統領の弾劾裁判が公正な下で行なわれたのか。そういう議論が始ったのは、事件から2年経って冷静さを取り戻しつつある証拠であろう。この裏には、朴大統領より、もっと定見のない大統領が登場して、韓国経済をメチャクチャにしている現実への反省も込められている。

 

『レコードチャイナ』(2月24日付)は、「朴前大統領の弾劾は妥当だったのか? 韓国で論争再燃」と題する記事を掲載した。

 

「韓国『ニューシス』(2月20日付)は「憲法裁の弾劾決定から2年が経過したが政界で朴前大統領の弾劾論争が再燃」と題する記事を掲載した。

(1)「記事はまず、朴槿惠前大統領時代の与党だった自由韓国党(
当時はセヌリ党)が、弾劾直後には党論で弾劾を受け入れていたが、最近になってこれを覆そうとする動きを見せていると伝えた。自由韓国党を除く与野党は、これに一斉に反発しているという」

 

(2)「政界では、自由韓国党の全党大会が党代表候補の親朴系・黄教安(ファン・ギョアン)元首相と金鎮台(キム・ジンテ)国会議員、非朴系・呉世勲(オ・セフン)前ソウル市長に固まり、「弾劾たたき」が支持層結集のための手段になっているとの見方が出ている。特に、朴政権時代の最後の首相で朴前大統領に友好的な保守層の支持を受けている黄氏が有力な党代表候補に浮上し、弾劾論争が拡散しているという」

 

自由韓国党の全党大会は現在、党代表を選ぶ選挙運動中である。朴前大統領への熱烈支持者は健在である。この層の支持を得なければ党代表に就任できないという事情も手伝い、前首相の黄教安氏は、「朴無罪論」を唱えている。獄中の朴氏が、黄氏を厳しく批判しているという弁護士発言が出てから、黄氏は意識的に朴擁護論に立っている。朴氏支持派の票を取り込む戦略によるものだ。

 

(3)「黄氏は19日の討論会で、これまで弾劾を批判してきた金氏とともに、『朴前大統領の弾劾はやむを得なかったと思うか』という質問に対し、『客観的真実がいまだに明確になっていないのに、政治的責任を問い弾劾決定を下すことは妥当ではない。弾劾が妥当との意見に私は同意できない』と弾劾反対の意向を示した。呉氏だけが弾劾に賛成し、当時院内代表だった鄭宇沢(チョン・ウテク)議員は『憲法裁の決定を尊重するというのがわが党の党論』と繰り返し強調したという」。

朴槿惠氏は、自分が弾劾判決を受けると思っていなかった。それに該当する犯罪意識がなかったからだ。現実に、サムスンから賄賂を受けた証拠はない。贈収賄裁判では、証拠がすべてとされている。その証拠がないままに、世論に迎合する意味で下された有罪判決は、政治判決で一大汚点と言える。朴氏が、裁判で出廷を拒否している理由は、現在の裁判で公正な判決が出ない。そういう覚悟を決めたのだろう。

(4)「これについて、韓国のネットユーザーからは50代を中心に幅広い年齢層からコメントが寄せられている。政界とは異なり擁護派の意見が上位を占めている。

 

朴前大統領は崔順実(チェ・スンシル)に利用されただけ。弾劾は見直すべき」

「ろうそくデモは自発的な参加者もいたけど、団体やメディアの影響も強かった」

「正直言って、自分も扇動されてろうそくデモに行っていた」

「一国の大統領を弾劾した事件。問題は本当になかったのか、もしあったとしたら二度とそのような誤った判断があってはならないという趣旨で世論をつくっていくことは、非常に健全な政治風土なのでは。今考えたら当時は感情的な弾劾だったような

「本当に間違っていたのなら弾劾は当然なこと。でも弾劾して権力を手にした人が同じことをしている。文大統領は自分にとっていい話しか聞かない。前大統領と何が違うの?」

「うまくいけば2連続の弾劾国家になれるかもよ(笑)。今の政権は世論操作もするしネット検閲もしたじゃないか」

文大統領は弾劾の準備でもした方がいいと思うよ。やっていることを見たら、もはや独裁政権に戻りつつある

 

文大統領は、朴氏に弾劾判決が出なかったならば、現在の地位はなかった。それだけに、弾劾をリードした労組と市民団体へは、いくら感謝を述べても足りないほどの感謝であろう。それが、最低賃金の大幅引上げという「亡国政策」を招いた。