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中国ファーウェイ(華為技術)は、世界中に網を張って「世界一」と見られる技術や経営ノウハウを吸収してきた。その結果、30年余という比較的短期間で世界一の通信機企業に発展した。反面、企業倫理では多くの問題を抱えている。世界21ヶ国で汚職捜査を受けるという汚名を着た企業でもある。

 

中国は、清国末期に「中体西用論」という思想が流行った。西洋の用(火砲・軍艦)は優れているが、中国の体(制度・文化)は遠く西洋に勝るというもの。ファーウェイの発展の跡を見ていると、この「中体西用論」と酷似していることに気付く。習近平氏の「中国式社会主義論」もこの類いである。つまり、先進国から小手先の技術などを学ぶが、中国の専制的な制度を絶対に守るという頑なさが、ファーウェイの反倫理的側面を一掃できない理由である。中国も同じ運命を担っている。攻めは強いが、守りに弱いのは「中体西用論」の特色である。

 

『日本経済新聞 電子版』(2月24日付)は、「苦境ファーウェイ、米が育ての親、黒い白鳥に備えを」と題する記事を掲載した。

 

(1)「ペンス米副大統領が、今月中旬の独ミュンヘン安全保障会議で名指しで警戒感をあらわにした中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)。トランプ米政権は世界規模での包囲網構築を模索するが、実はもともと米国企業が育ててきた世界企業という側面を持つ。米半導体大手のクアルコムやインテルが部品供給で協力し、米IBMなどが経営面から支えてきた。『米国企業なしで成長はなかった』。ファーウェイ幹部は打ち明ける。

 

ファーウェイは、米国と対立しては成り立たない企業である。ハードやソフトの両面で、深いつながりがあるからだ。同社の創業者任氏は最近、強気の発言に転じている。米国市場がなくてもファーウェイは発展できると見当違いのことを喋っているのだ。米国がファーウェイを起訴した以上、ファーウェイに対していかなる行政的な処罰もできる。これを忘れていると、第二のZTE(中興通訊)になって米国からの輸出禁止命令を受けよう。

 

(2)「同社の経営コンサルティングパートナーの名簿を昨年秋に入手した。そこにはIBM、ボストン・コンサルティング・グループ、アクセンチュアといった米国を拠点とする大手企業の名前がずらりと並んでいた。通信機器やサービスの開発、サプライチェーンの構築に加え、ビジネスモデルの変革、人事、財務に関してもファーウェイは欧米企業を手本としてきた。それらの取り組みが優れた新製品やサービスを続々と生み出し、創業から30年余りの民営企業が中国国有大手だけでなく欧米大手を追い抜く原動力となった」

 

ファーウェイは、米国のIBM、ボストン・コンサルティング・グループ、アクセンチュアなどから技術などの支援を受けている。「5G」も米国技術がなければ営業開始できない脆弱性を抱えているのだ。日本企業のように独自技術から出発したものでなく、必要な技術は外から買うシステムである。このグローバル化した企業が、米国政府から「切開メス」を入れられたら、一巻の終わりである。ファーウェイは、謙虚に振る舞うべきである。

 

(3)「ファーウェイ問題の本質は、人民解放軍を含めた共産党が企業への指導を強める現状に対して、米政府などが恐怖を感じていることにある。『ソ連崩壊に続く、ブラックスワン(黒い白鳥)が飛来したのではないか』。中国の外資系金融機関の幹部は、米中対立の激化をこう評する。ブラックスワンとは米国の金融業界で使われる言葉で、めったに起こらない重大事を意味する。ファーウェイは緊急事態への備えを怠らないようにと本社の人工池にブラックスワンを飼育している。同社だけでなく世界中の企業経営者がブラックスワンへの対応を迫られている」

 

ファーウェイの技術基盤が多国間連携型である以上、中国式の腐敗構造に基づく「反倫理性」を改めなければ立ち枯れの運命であろう。だから、「ブラックスワン」を恐れているのであろう。米国政府が、ファーウェイに対して、ハードとソフトの輸出禁止命令を出せば、業務の継続は著しく困難となろう。ファーウェイは弱い立場なのだ。