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近平氏は、自らの経済政策失敗を棚上げして、党員に忠誠を誓わせるナチス張りの締め付けを行なっている。中国でも心ある人々は、自由を求めて他国への移住に積極的である。先に本欄で取り上げた民営経営者は、中国地方政府の官僚が常時、企業をATM代わりに搾取しその上、重税を掛ける実情を告発した。

 

習近平政権になって、中国は極端な左旋回を始めている。「80後」(80年代生まれ)や「90後」(90年代生まれ)の層は、今の習政権が「永久化」した場合の恐怖を感じているという。米国は、1930年代ナチス旋風が吹き荒れたころ、優秀な人材が米国へ渡った。これと同様に、中国の自由へ憧れる人材を受入れよ、という主張が登場した。

 

『ブルームバーグ』(3月4日付け)は、「習政権嫌気して中国去る人材、米国は迎え入れよ」と題するコラムを掲載した。

 

1990年代から2010年代初めまで、中国の方向に間違いはなかったようにみえる。製造業の広範な分野で中国企業がシェアを伸ばし、経済は飛躍的に成長。政治体制も強権的ではあるが、政権は鄧小平の時代からスムーズに順次移行し、安定性を増しているようだった。母国でリッチになるチャンスが広がると、米国の大学を卒業後に帰国する中国人留学生も増えた。

 

(1)「今は止めることができないように思える巨大な力が、厳しい環境を生んでいる。10年代に入りすでに鈍化していた経済は一段と減速。習近平国家主席は最高指導者の地位に終身とどまれるよう、自らルールを変えた。ウイグル族弾圧など少数民族に対してのみならず、国民全般にも一段と抑圧的になっている。今では政府の経済政策について語ることさえ不可とされることもしばしばだ。中国が経済の基盤を再び強化し、開放をあらためて推進する可能性はあるが、あらゆるトレンドが悪くなっているように見えるのが現状だ」

 

習近平氏による永久政権の基盤は、AI(人工知能)を駆使した国民弾圧によって、不平不満を抑圧する「ナチス型」統治を目指している。社会派弁護士を理由もなく拘束しているのは、永久政権化を狙う習氏の犠牲者である。

 


(2)「経済の鈍化と政権の締め付け強化で、国から逃げ出す中国人も増えるだろう。すでに現実の話だ。米紙ニューヨーク・タイムズは特集記事で、中国の経済展望に強い自信を持つ中国人富裕層の割合が2年前の3分の2から今では3分の1に減ったとの調査結果を紹介。子どもを海外に留学させる親も増えている。その理由が、視点を広げる教育を受けさせるためか、国内の不安や圧力を回避するためかは分からない。海外での住宅購入は単に賢い投資戦略かもしれないが、国外に居場所を確保する手段にもなり得る」

 

中国人は、4000年の歴史を持ちながら民主政治を持てなかった。個人が貧しくて、その日暮らしであったためだ。物を恵む人をただ尊敬していたに過ぎない。毛沢東もその分類であろう。だが、個人が豊かになり始めると、過去の手法は無効になる。習近平氏が毛沢東の真似をしても成功しない理由は、個人がすでに経済的独立をするようになったからだ。習近平氏の政治的な限界はここにある。「自由への逃亡」が始るのだ。

 

(3)「非常に多くの中国人エリート層が、自国の安定と展望に自信がないという事実は、習政権にとって警告になるはずだ。一方で、米国には予期せぬ恵みになるかもしれない。こうした中国人を歓迎し、米国民とすることができれば、起業家精神にあふれた人材を多数受け入れることになる。米国が、中国から実業家や創意工夫に富む人々を受け入れることは特に重要だ。中国人受け入れを妨げる最大の障害は、米国側の態度にあるかもしれない。米中貿易戦争が激化し、中国のスパイ行為を容認しないという意識が高まっているためだ。

 

中国のように、官僚と軍隊が最高権力を握る世界は、後進国家の典型例である。経済的に自立可能な人間には、自由への桎梏を忌避するもの。中国でも4000年の歴史を経て、ようやく「自由への憧れ」を持つ人々が登場したのだ。胃袋の人生から脱して、頭を自由に使う人生への憧れである。

 

(4)「確かに、学んだり働くために米国にやって来る中国人のごく一部は、スパイになるかもしれない。だが、大半はそうではない。なぜなら、中国を捨て米国を選ぼうとする人々は、中国の体制に不満を持っている傾向があるからだ。中国政府に反発する人々と、そうした人材が持つ米国の力の構築に寄与する素晴らしい才能を活用すれば、米国のスパイ防止活動を支える逸材確保につながる」

 

中国社会は、人縁社会である。これは、欧米の開かれた社会と根本的に異なる。それ故、中国政府はあらゆるルートを使って米国へ移住した人々をスパイに誘い込むことを忘れてはならない。この点が、ナチスから逃れて米国へ移住した人々と全く異なるのだ。