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政治の実情を知らない人間が、あれこれ政治批判することを床屋政談という。韓国では歴とした政治関係者が、この類いの話をして「反日」をやっているのだ。先の米朝首脳会談が決裂した理由は、トランプ大統領が安倍首相の反対論にひきづられた、というもの。「安倍はけしからん」というのが韓国政界の噂話になっているというから驚く。

 

世界の覇権国は米国である。その米国が、安倍首相の意見に影響されて米朝首脳会談を決裂させたという見方は飛躍し過ぎである。トランプ氏が、アジア問題で安倍氏の意見を参考にすることはよく聞かれる話だ。だが、ホワイトハウスには、その道の専門家が控えている。彼らが最終決定権を持っているのだ。こういう外交の意思決定構造を無視した話は笑い話にもならない。

 

『中央日報』は、「『米朝会談の失敗は日本のせい』?外交専門家『現実を知っていたら言えない言葉』」と題する記事を掲載した。

 

「ハノイ会談決裂の裏に日本の影が見え隠れする」〔鄭東泳(チョン・ドンヨン)民主平和党代表〕

「ハノイ会談が合意に至ることができない結果が出て、世界で一番喜んだのが日本安倍晋三首相だった」〔柳時敏(ユ・シミン)盧武鉉(ノ・ムヒョン)財団理事長〕

2月27~28日、ベトナム・ハノイで開かれた第2回米朝首脳会談が失敗に終わると、汎与党要人の日本糾弾が続いている。

   

(1)「民主平和党の鄭東泳代表は2日、自身のフェイスブックに米朝首脳会談の失敗原因を分析しながら日本を取り上げた。鄭代表は『ハノイ会談決裂の裏に日本の影が見え隠れする』とし、『日本はワシントンでのロビーに注ぐ人的・物的資源総量が韓国の60倍に達する。ハノイでの外交惨事が安倍政権の快哉につながる北東アジアの現実こそ冷厳な国際政治の隠れた実状だ』と述べた。続いて『世界の指導者のうちハノイ会談の失敗に歓呼した人は安倍首相1人だ』と主張した」

野党の民主平和党の代表が、「世界の指導者のうちハノイ会談の失敗に歓呼した人は安倍首相1人だ」と言って怒っている。これは、事実誤認である。米議会でも破談になって良かったという意見が多数だ。核施設すら正直に申告しない段階で、経済制裁を一部でも解除することは危険千万である。米朝首脳会談では、トランプ氏が隠れ施設を指摘して北朝鮮を驚かせたという。こういう隠し立てをしている北朝鮮と、協定を結べるはずがない。

 

(2)「『御用知識人』を自任する柳時敏理事長も2日、盧武鉉財団YouTubeチャネルに公開された『柳時敏アリレオ』第9話特集放送で、『ハノイ会談が合意に至ることができない結果が出て、世界で一番喜んだのが日本安倍晋三首相ではなかったか』と声を高めた。柳理事長は『その(自民党)閣僚も喜色満面でうまくいったと話し、三一節(独立運動記念日)にその場面を見ると非常に腹が立った』と話した」

 


北朝鮮が核保有国になる場合、日本が最初の標的にされかねない。そういうリスクを抱える日本が、完全非核化を願うのは当然の話だ。韓国から非難される筋合いでない。悪いディールでなく良かったと喜ぶのは普通の感情だ。日本が、この要求を米国に伝えてどこが悪いのか。日米は同盟国である。そのような意見を言うのは当然の権利である。

 

(3)「高麗(コリョ)大学北朝鮮学科の柳浩烈(ユ・ホヨル)教授は、『トランプ大統領の北朝鮮政策はあくまでも本人の判断と米国の利益に沿って動く』とし『今回はボルトンら強硬派の資料と主張がトランプに影響を及ぼした』と話した。柳教授は『さらに進んで、ボルトンやポンペオのような人もトランプ大統領に及ぼす影響力が制限的なのに、安倍首相が米朝首脳会談に影響を及ぼす空間はほぼないと考える』と話した」


 

トランプ氏は、「米国ファースト」であり、「トランプ・ファースト」である。自分の意見が絶対であり、他人の意見は参考程度である。具申した意見が通ったとしても、それはトランプ氏とたまたま同じ意見であった可能性が大きい。大統領とはそういう最高意志決定権を握っている。文大統領もそうであろう。文氏は、最低賃金の大幅引上げがいかに悪法で、野党が修正せよと迫っても変更しない。トランプ氏も文氏も同じ権力構造に乗っているのだ。