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北京の人民大会堂で、5日から始った全人代での政府活動報告の際、習国家主席は仏頂面で李克強首相と目も合わせなかったと、話題になっている。李首相の経済采配が悪くて、景気急減速が起っているわけではない。仏頂面している習氏が、引き起こした経済局面である。いささか、場所を心得えず大人げない振る舞いである。これが、14億人を率いるトップの姿だ。

 

今年の春節(旧正月)期間中の小売り・飲食業売上高は、計1兆100億元(約16兆4000億円)にとどまった。前年に比べて8.5%増に過ぎず、少なくとも2011年以降で最も低い伸び率である。春節といえば、中国最大のイベントである。家族が全員集まって新春を喜び合う。そういう貴重な機会が、湿っぽい景気で振るわなかったのだ。消費に対する下押し圧力が春節休暇中も続いていた。「一年に一度の正月だから」とパッと景気良く行かなかったのであろう。

 

観光業の収入は8.2%増と昨年の12.6%増から伸びが急速に鈍化した。また、国内の映画興行収入は前年に比べて1%増だったと澎湃新聞がアリババ・ピクチャーズの発券サービスプラットフォームの統計を基に伝えた。正月は、映画を見る絶好の機会であろうに、わずか1%増とは驚きの数字だ。映画すら節約対象になっている。

 

以上のような状況を見れば、2月のサービス業PMI(購買担当者景気指数)が明るいはずがない。

 

『ロイター』(3月5日付け)は、「財新の2月中国サービス部門PMIは4カ月ぶり低水準、新規受注減少」と題する記事を掲載した。

 

(1)「財新・マークイットが5日発表した2月の中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は51.1と、前月の53.6から大幅低下し、昨年10月以来4カ月ぶりの低水準となった。内外で新規受注が減少した。指数は、50が景況拡大・悪化の分かれ目を示す。国家統計局が2月28日に発表した2月の非製造業PMIとおおむね同様の結果となった。非製造業PMIは54.3で、前月の54.7から低下した」

 

サービス業の景況悪化は、製造業の悪化を反映したもの。タイムラグを置いて、サービス業の景況悪化につながったことを示している。サービス業の好転は、製造業が上昇しない限り

不可能である。製造業が上昇すれば、所得が増え雇用も増加する。この関係を考えれば、サービス業の停滞感は今後、一層、強まるであろう。

 

ちなみに、2月の財新・マークイットが発表した2月の中国製造業購買担当者景気指数 (PMI)は49.9と前月の48.3から上昇したものの、景況改善・悪化の分岐点となる50を下回る水準にとどまった。輸出受注の低迷が背景にある。PMIが50を下回るのは3カ月連続である。1月の全国消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.7%上昇と、上昇幅は前月から0.2ポイント縮小した。伸びはこの1年間で最低となった

 

1月の消費者物価指数上昇率は、この1年間で最低水準に落込んだのだ。需要が低迷している結果である。サービス業のPMIが、50スレスレまで低下してきたのは当然である。習近平氏が、全人代初日の政府活動報告で仏頂面して、李首相と目も合わせなかった事情もこの辺にあるのかも知れない。

 

(2)「中国は、製造業が労働コストの上昇や米中貿易戦争の悪影響で鈍化する中、クッション役として、好調なサービス部門に依存している。新規受注の伸びは昨年10月以来の低さ。輸出売上高の伸びも5カ月ぶりの低さとなり、需要が国内外で減少していることを示唆した。雇用創出はわずかな伸びにとどまった。製造業とサービス部門を合わせた総合PMIは50.7と、1月の50.9から低下した。CEBMグループのマクロ経済分析責任者、Zhengsheng Zhong氏は、『雇用には下方圧力がかかっており、サービス部門の成長は著しく鈍化した。インフラ投資の拡大が、経済成長の大幅鈍化を防いだかもしれない』との見方が出ている』

 

中国経済はすでに、雇用にも下方圧力がかかっている。製造業は過去3ヶ月連続で好不況の分岐点50を割った。サービス業も先行き不安である。まさに総崩れで状態だ。短期的な回復策としてインフラ投資に期待がかかっているが、地方政府にも資金調達力が消えかかっている。バブル経済崩壊というのは、こういう状態を指すのだ。