a0960_008565_m
   


北朝鮮の金正恩氏が、米朝首脳会談で長く平壌を空ける間に、クーデターが起らないのか。誰でもそう思うはずだ。やはり、正恩氏もそれが最大の頭痛の種であったようである。これまでも、国外に出ない理由としてクーデター発生懸念が理由とされてきた。若き「首領」が国を治める上で頼るのは、粛清など血の恐怖を与えるしか道はないようだ。

 

その「恐怖の大王」は、今回の米朝首脳会談の失敗でメンツが丸つぶれになった。その怒りの矛先をどこへ向けるのか。北朝鮮が交渉実務責任者の金赫哲(キム・ヒョクチョル)対米特別代表への対応が注目を集めている。場合によっては、粛清対象にされるのか、だ。

 

『朝鮮日報』(3月6日付け)は、「韓国情報機関、北が東倉里発射場で施設を一部復旧」と題する記事を掲載した。

 

(1)「『ハノイに行くため平壌を空ける際、クーデターをさせないよう金委員長が銃器使用禁止令』韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は、第2次米朝首脳会談決裂後の北朝鮮内部の動向に関して『内部では会談結果にかなりの期待があったが、合意不発で失望感が現れた』と評し、さらに「金正恩(キム・ジョンウン)委員長は5日、平壌に戻った後、今回の会談について全般的に評価を行い、今後の戦略と方策を検討するとみられる。(検討)期間が多少長くなることもあり得る」という見方を示した」

 

韓国政府は、政治の最大の目標を南北交流事業に置いている。そのためには、米朝交渉の成功が絶対条件である。文大統領の期待とは反対に、北朝鮮内部では米朝交渉失敗の原因分析に時間がかかりそうだという情勢分析が出ている。北朝鮮が体制を立て直して、米国との交渉のテーブルに着くまでに時間がかかるとなれば、文氏が大統領としての「持ち時間」が少なくなる。それだけに、「北朝鮮効果」の恩恵に浴する機会が減りかねない。ヤキモキしているだろう。

 

(2)「また国情院は、金正恩委員長が、政権を樹立してから最も長く平壌を空けるということで「クーデターの可能性」を元から断つため徹底して準備したことをつかんだ。韓国国会情報委員会のある委員は「金正恩委員長は北朝鮮を離れる際、飛行場の使用禁止、訓練の全面中断だけでなく銃器の使用禁止措置まで取ったという」と語った。情報委の委員らは5日、北朝鮮が交渉実務責任者の金赫哲(キム・ヒョクチョル)対米特別代表に会談決裂の責任を問い、粛清する可能性についても質問した。これに対し国情院側は「かなり綿密に観察している」と答弁したと伝えられている。ある委員は「国情院が、金赫哲氏粛清の可能性を深刻に捉えているという意味だと解釈した」と語った。また国情院は、金正恩委員長のソウル答礼訪問に関して「北朝鮮内部でも戦略を検討する時間が必要なので、今は急いで答礼訪問の時期を議論することはない」と分析した」

 

正恩氏が、クーデター発生予防で空港使用や武器使用の禁止令を出していたという。この話を聞くだけで、専制国家最大の悩みはクーデター発生にあることが分る。

 

中国でも同様だ。習近平氏の護衛部隊はしょっちゅう変えているという。国内クーデターが発生した場合は、部隊が迅速に出動できるように無駄な高速鉄道を建設している。専制国家の管理コストには、民主主義国に比べて膨大なものがかかっている。それ故、景気が悪化した場合の「不況抵抗力」は脆弱であることは不可避である。旧ソ連が、突然の崩壊に見舞われたのもこれが理由の一つであろう。この伝で言えば、中国や北朝鮮も同じ運命を辿っても不思議はない。

 

北朝鮮には、もう一つ気懸りな動きがある。撤去したはずの施設に修理などの動きが見られることである。

 

(3)「国情院は5日、国会情報委に「寧辺の5メガワット原子炉は昨年末から稼働を停止した状態で、今のところ再処理施設稼働の兆候はない状況」と報告した。豊渓里核実験場についても「昨年5月の廃棄イベント以降、坑道は放置された状態で、特に動向はなかった」とした。ただし東倉里ミサイル発射場に関しては「北朝鮮が、撤去施設のうち屋根や扉などを復旧している」と報告したと伝えられている」。

 

米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は5日(現地時間)、2回目の米朝首脳会談後の2日に撮影した衛星写真で、北朝鮮の北西部・東倉里にあるミサイル発射場で再建を進めている動きがあり、意図的な活動再開の可能性があると明らかにした。動きはエンジン試験台や発射台の軌道式ロケット移動構造物などで確認されたという。同発射場は過去、大陸間弾道ミサイル(ICBM)技術を利用し衛星を発射した場所で、昨年8月以降は活動が中断されていた。以上は、『聯合ニュース』(3月6日付け)が伝えたものだ。