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ファーウェイ(華為技術)は、これまで米国政府に追いまくられてきたが逆に提訴した。ファーウェイ製品が、米国国防権限法で理由も開示されず、販売禁止措置を受けたのは違法というもの。米国裁判所がどう裁くのか。ファーウェイに勝算はあるのか注目されている。

 

ファーウェイ製品は、米国市場で占めるシェアは、1%以下と微々たるもの。あえて損害を申し立てる理由に乏しい。そこで提訴の理由は、「私権剥奪」という。中国では、「私権剥奪」は日常茶飯事だが、ありがたいことに中国企業は、これを理由に米国政府を訴えられる。中国では考えられない裁判が始るのだ。

 

ファーウェイは敗訴の場合、受けるダメージは大きくなる。安全保障上の理由でファーウェイ製品は危険であると米国裁判所が認めたとなれば、米国政府は「5G導入禁止」の正統性を宣伝できるからだ。どうもファーウェイの戦略が間違っており、墓穴を掘る危険性の方が大きいように見えるのだ。

 

『ロイター』(3月8日付け)は、「ファーウェイが米政府に反撃、提訴の勝算あるか」と題する記事を掲載した。

 

ファーウェイは7日、米国防権限法(NDAA)で連邦機関による同社製品の使用が禁じられたことを巡り、禁止の解除を求めて米国政府を提訴した。昨年8月に制定されたNDAAを含め、国家安全保障に関する議会決定ついて、米国の裁判所は後から異議を唱えることを避ける傾向にあるため、法律専門家はファーウェイが敗訴する可能性が高いとみている。一部の専門家は、ファーウェイは勝つ可能性がわずかだと分かっていても、米国政府を相手取ることで世論を味方につけることを期待している可能性があると指摘する。

 

(1)「今回の訴訟で問題とされているNDAAとは別に、米政府は次世代通信規格「5G」のネットワーク構築に際し、自国企業がファーウェイ製品を使用することを禁止する法律の制定も検討しており、同盟国にも同社製品を排除するよう呼びかけている。米政府はまた、ファーウェイが企業秘密を盗み出し、米国の対イラン制裁に違反していると非難している。任CEOの娘である孟晩舟(メン・ワンツォウ)最高財務責任者(CFO)は昨年12月、米司法省の要請により、カナダ当局によって逮捕された。同省は孟CFOを米国の対イラン制裁違反で共謀した罪などで訴追した」

 

客観的に見れば、ファーウェイは不利な状況に置かれている。ファーウェイの個人と企業がともに起訴されているからだ。「盗人にも三分の理」というがそんなところだろうか。屁理屈をこねれば、若干の理屈もつくのだろう。

 


(2)「自社製品の使用禁止は『私権はく奪法』に当たるというのがファーウェイの主な主張である。ある特定の人物や団体に対して、訴訟を行わずに罰する法的措置を意味する私権はく奪法は合衆国憲法で明示的に禁止されている。ファーウェイはまた、適正手続きを行う権利が侵害されているとし、米議会が憲法で定められている三権分立に違反し、司法の権力を行使していると主張している」

 

中国は、「私権剥奪」花盛りの国である。これによって、どれだけの個人と団体が泣かされてきたか分らない。その項目を使って米国政府を訴える。法廷のやり取りが興味深い。中国政府は、自分が訴えられ思いで聞くべきだ。

 


(3)「米国の法律専門家の大半は、ファーウェイの勝訴は「ない」との見方を示している。ファーウェイが勝訴するには、米議会がNDAAに同社製品の使用禁止を含めたことは不当であると裁判所が判断しなくてはならないとみられるからだ。一般的に、米国の裁判所は、議会や行政府が下した国家安全保障上の決断に疑念を挟むことに消極的である。議会や行政府は、裁判所よりそのような決断を下すのに適した立場にあるとみられている」

 

専門家は、ファーウェイが棄却の申し立てを回避できる見込みはほとんどないとし、証拠が開示される前に終わりを迎えるという予想もされている。米国政府は、「中央集権的な中国政府の性質や自国産業との緊密な関係、そして中国によるハッキングを示す文書に裏付けられた数多くの案件は、NDAAには合理的な根拠があるという立場を立証することになるだろう」との予想が多い。 なんだか、やぶ蛇に終わる公算が強いようだ。