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けさ、発行(有料)しました。よろしくお願い申し上げます。

 

「国進民退」政策の失敗

生産機能の海外移転促進

改革開放が招いた「墓標」

一帯一路が中国凋落の道

 

米中貿易協議は、最終局面を迎えています。米国交渉団を率いるライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表は3月12日、米上院財政委員会に対し、協議の「最終週に入っていることを望む」と述べました。米中貿易協議は近く合意に達するというシグナルを出したと理解されています。

 

米国が、中国へ突付けている要求項目は、すべてWTO(世界貿易機関)のルール通りであって、特別に厄介な問題でありません。中国が、これまで米国に対して改善を約束しながら実行しなかった。そういう事項の完全実施を求められているに過ぎません。技術窃取をしない。サイバー攻撃をしない。国有企業に補助金を出さない。WTO加盟国は、いずれもこのルールを遵守してきました。中国は、それを守らなかったのです。

 


「国進民退」政策の失敗

ライトハイザー氏は、米中貿易協議が妥結に向け最終段階であると示唆しました。中国の受ける影響は、どのようなものがあるのでしょうか。二つの面に分けて考えるべきです。

 

.米中の貿易不均衡問題。米国が、対中貿易で大幅赤字に陥っている点は、中国が米国から輸入を増やせば、輸出と輸入のバランスが取れて問題は解決します。ただ、これは、他国の輸出を奪うことになります。例えば半導体です。中国が、米国からの輸入を増やせば、その分、韓国からの対中半導体輸出が減るという問題が起ります。そこで、韓国が犠牲を負います。

 

.中国の産業構造転換問題。実は、これが最も困難な問題となっています。中国は、習近平氏が国家主席に就任後、国有企業中心の産業構造に変えてしまいました。それ以前は、鄧小平の改革開放政策(1978年)で、民営企業を主体とする「民進国退」という市場経済へ転換しました。習近平氏は、国営企業中心の「国進民退」へと先祖返りしてしまったのです。

 

これが、中国経済に硬直性をもたらしました。国有企業は政府が経営する企業です。世界的に政府が経営する企業で、成功した例はないのです。日本流に言えば、「親方日の丸」企業は、放漫経営に流れ経営が悪化しました。それでも、すぐに倒産することはないのです。中国でも同様で、国有企業の売上高営業利益率は、民営企業よりも劣ります。企業経営において、国有企業のように「倒産リスク」を免れるのは、「永久寿命」を保証されたに等しく経営の規律が保てません。中国の「国進民退」は、政府が国有企業に「永久寿命」を付与したのも同然。躍動力を奪ったと言えます。

 

国有企業は、以上のような本質的な欠陥を抱えています。中国は、これをカバーすべく、技術窃取、サイバー攻撃、補助金という三点セットで補ってきました。サイバー攻撃では、胡錦濤氏や習近平氏の母校である精華大学が絡んでいる。米国の報告書は、こう指摘しています。サイバー攻撃が、国策として行なわれていると見るほかありません。

 

今回の、米中通商協議で構造問題に決着がつくとなれば、中国は2500億ドルの輸出品に掛けられていた特別関税が撤廃されるでしょう。これはプラスですが、中国は米国との約束を完全履行するのでしょうか。その保証がないのです。米国は、約束が確実に実行されているか、検証委員会を設置する。違反のケースがでれば、ペナルティの関税を復活させる、と主張しています。

 


生産機能の海外移転促進

こうなると、中国へ進出している外資系企業は、いつもビクビクして特別関税を掛けられるリスクと隣り合わせになります。この際、思い切って中国を捨てて他の国へ生産機能をシフトさせる可能性が高まります。欧米や台湾の企業には、その動きが目立ってきました。

 

中国人民大学就業研究所が発行するリポートでは、昨年の第3四半期の就業者数が、前年比50%程度も減少した。西部地域では約80%も急減したと記録されているそうです。私は、その数字を確認していませんが、神戸大学・梶谷教授がそのように発言しています。この50%とか、80%という雇用減は、工場が海外へ移転した結果起ったと見るべきです。米中貿易戦争の結果、対米輸出が減少したというレベルを超えた、雇用減が見られることに不気味さを感じます。(つづく)

 

メルマガ34号 「文政権、労組と結託し南北統一準備、反日をテコに使う危険性」が、下記の『マネー・ボイス』で紹介されました。ご覧下さい。

https://www.mag2.com/p/money/646458