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信じられないような話が中国で起っている。中国北京市や山東省などの市民6人は9日、国有自動車メーカー「一汽大衆」が製造する「アウディ」車を使用後、白血病を発症したとネットに実名で告発した。市民らは同ブランド車が製造時に有毒物質が使われているとした。米『ラジオ・フリー・アジア』(RFA)が10日報じた。

 

一汽大衆は、中国自動車メーカーの第一汽車と、独自動車メーカーのフォルクスワーゲンとの合弁会社で、吉林省長春市に本社を構える。「血筋」から言えば文句なしの血統書付きの自動車合弁会社である。その企業が製造する車が、「棺桶」とはなんともおぞましいことである。

 

『大紀元』(3月13日付け)は、「中国産車に有毒物質か 白血病などの健康被害が続出」と題する記事を掲載した。

 

自動車の部品に瀝青(れきせい)という有毒物質が使われていたという。その瀝青とは何か。よく目にするものは、道路工事の舗装で路盤の防水性を高め、その上のアスファルト混合物層とのなじみ改善のために、アスファルトの下に散布するもの。一般に黒褐色で粘性、弾性、防水性にすぐれている。この瀝青が、自動車部品に化けていた。中国では、内装材料に関する国家安全基準がないという。今回の事件は、「事件」にならないのだろうか。

 


(1)「一汽大衆は2010年、SUV車「アウディQ5」の製造販売を開始した。中国メディアは2013年、「アウディ」の一部の車種に「異臭がする」と指摘、利用者が白血病にかかったと報じた。番組は、制振材として使われている瀝青(れきせい)が「異臭」の原因だとした。一汽大衆は20173月に公式ウェブサイトで、201316年まで製造した「アウディ」ブランド車の異臭問題を認めた」

 

(2)「瀝青からはベンゼン、ベンゾピランなどの発がん性物質を放出するため、長期的に吸い込むと、鼻炎や皮膚病、流産、胎児障害、白血病などの健康被害が出ることがある。山東省に住む被害者の1人、林さんはRFAの取材に対して、ソーシャルメディア「微信」で告発文を掲載してから、大きな反響を呼んだと話した。林さんによると、同車の利用者20人は同様の症状が出たと訴えたという。林さんは20155月に「アウディA4」を購入し、20181月急性骨髄性白血病と診断された。他の5人の被害者も、「異臭がする」アウディ車を購入した後に、同じ病にかかった」

 

前記の林さんによると、問題の車は国産「アウディ」ブランド車に限定される。「友人の1人が車を解体後、車の中から20~30キロの瀝青が見つかった」という。中国自動車業界関係者の秦氏はRFAに対して、国有自動車メーカーと外資自動車メーカーの合弁会社が、中国国内で製造する自動車について、「エンジンなどの主要部品は外国から輸入しているが、コストを下げるため、内装材料は劣悪品を使っている。内装材料に関する国家安全基準がないからだ」と述べた国内すべての自動車メーカーが、人体に影響を及ぼす有害物質を使用しているという。

 


(3)「RFAによると、北京市民の田さんは、林さんらと同様に、実名で健康被害を訴えた1人だ。田さんの夫は、2014年国産「アウディ」を購入し、1年後に白血病を患い、その後、40歳の若さで亡くなった。田さんは、夫が死後、北京市地裁に対して、一汽大衆を相手取って訴訟を起こした。しかし、一汽大衆は国有企業であるため、田さんは嫌がらせを受けた。メディアにも助けを求めたが、門前払いされたという」

 

国有企業は政府所有企業である。庶民の訴えを真面目に聞き届けることなどあり得ない。習近平氏が、国有企業を重視する産業政策に切り替えてしまったから、ますます国民から遠い存在になっている。こういう企業が、国際競争力を持てるはずがない。お役所感覚でビジネスを行なっているからだ。私は中国経済の未来に大きな疑念を持つ者だが、こういう国有企業の引き起こす事故を見て、ますますその疑念が膨らむ。


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