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文在寅大統領は、「金正恩の主席報道官」と冷笑されているほど、北朝鮮一辺倒になっている。その北朝鮮は、文氏を米朝間の仲裁役として認めないと言い出した。これでは、文氏の立つ瀬がない。

 

こういう矛楯はどこから起ったのか。文氏特有の激しい思い込みが原因である。文氏は、悲しい映画を見ると嗚咽して立ち上がれないというほど、現実とフィクションを混同する「感情過多症」である。この調子で、北朝鮮政策へのめり込んでしまっているのだろう。

 

対日政策は、対北朝鮮の真逆である。慰安婦や徴用工の哀しい話しを聞いて、そういう問題に関わった日本を絶対に許してはいけない。成敗を下してやる。そう思い込んでいるに違いない。対北朝鮮も対日本も、そこには感情論だけがあって客観的な外交的な視点は欠落している。これが、文外交の落し穴である。孤立無援になって当然なのだ。

 

『朝鮮日報』(3月18日づけ)は、「対北一辺倒の文在寅外交に米国や国連は冷ややかな視線」と題する記事を掲載した。

 

2回目の米朝首脳会談が決裂して以降、米朝間の仲裁者役を自任してきた文在寅(ムン・ジェイン)政権に対し、米国や国連をはじめとする国際社会から「警告メッセージ」が相次いでいる。しかし、韓国政府は今後も対北朝鮮経済協力と仲裁者役を続ける考えにこだわっており、そうなれば米国と対立する形になり、外交的に孤立すると懸念の声が上がっている。

 

(1)「米政府・民間のあちこちから、『韓国政府は率先して対北朝鮮制裁協調態勢を崩そうとしている』との不満が聞こえてきている。米政府がはっきり反対しているのにもかかわらず、韓国政府は開城工業団地・金剛山観光事業の再開を推進する意向を曲げないということだ。外交消息筋は『文在寅政権の外交政策が国際的に議論の対象になっている。米朝間の空転が続けば続くほど、こうした声はいっそう強まるだろう』と語った」

 

文氏は、米国や国連から向けられる冷たい視線にもかかわらず、対北政策に踏み込まなければならない切羽詰まった事情もある。韓国国内経済が難問を抱えているからだ。景気は後退している。打つ手がない。文氏の支持率も就任後最低になり、不支持率が上回っている。ここは、南北交流事業を始めて一気に局面を打開しなければならぬという思惑も加わってきた。こうなると、対北朝鮮政策から手を引くに引けないのだろう。


(2)「米紙ワシントン・ポストは15日(現地時間)、『ハノイ会談決裂後、仲裁者としての文大統領の信頼性は危機にひんしている』という見出しの記事で、『文大統領の『中立的仲裁者』としての信頼性はほとんど疑われてこなかった。(しかし)ハノイ会談が決裂し、韓国指導者の統治の中心軸である北朝鮮との和解局面は破られた』と書いた。同紙はまた、韓米の対北朝鮮専門家の話として、『最近の北朝鮮の妥協のない行動は、文大統領の仲裁能力の限界を部分的に反映している』と述べた」

 

米朝首脳会談の失敗は、文氏の失敗である。文氏が、正恩氏に米国や国連の厳しい意見を正確に伝えず、「仲人口」で甘い見通しを話していた面も影響しているはずだ。北朝鮮が、文氏を仲介者と認めない発言を始めている裏には、文氏への不満が現れていると見るべきだ。

 


(3)「米国務省は先日、『2018国別人権報告書』を出した際、『韓国政府は脱北者の北朝鮮に対する批判活動を減らそうとしている』と指摘した。ワシントン・ポストは『人権派弁護士だった文大統領は平和定着のため北朝鮮の悲惨な人権を軽視したことを理由に強い批判に直面した』と書いた。国連もこのほど北朝鮮の開城に設けられた南北連絡事務所に石油類が提供されたことに対して制裁違反の可能性を指摘した。さらに、文大統領と金正恩委員長が平壌で乗ったベンツを制裁対象に指定し、韓国大統領府警護室に質問状を送っている。外交消息筋は『韓米協力が弱まると文在寅政権の外交的影響力が下がり、ややもすれば孤立状態に陥る恐れもある』と懸念している」

 

韓国外交の基本は、米韓軍事同盟の前提から言って、対米外交が基本になるべきである。文政権にはその認識が欠けている。「86世代」の「親中朝・反日米」という真逆の思想の持ち主が、外交のハンドルを握っている。米韓が齟齬を来たすのは当然であろう。その点で、文在寅大統領は政治の師である盧武鉉・元大統領に大いに劣るのだ。金大中→盧武鉉→文在寅と三代にわたる革新政権を見ると、文氏の政治的能力は劣化していることは否定しがたい。