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「策略の国」中国は、対米交渉でもその片鱗を見せている。米朝交渉では、トランプ氏が席を立って会談決裂に終わったので、米中会談でその再現を最も恐れている。そういう事態になったら、習氏に失脚の恐れがあるというのだ。いろいろの思惑を秘めて、米中通商協議は最終決着点を求めて動いている。中国が、不利な立場にあることは変らない。

 

『大紀元』(3月22日付け)は、「米中首脳会談の延期、専門家、両国の政治体制の全面対決」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国共産党政権に近い香港メディア『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は316日、米中首脳会談は6月に行われる可能性があると報じた。同紙によれば米中双方は、3月末までの通商協議は困難とみているという。また、『ブルームバーグ』は14日、米関係者3人の話として、中国側は貿易戦を形式的にも終結するため、習主席の訪米は『簡素なもの』ではなく、国賓として迎える公式訪問を米国側に求めていると伝えた。同メディアはまた、首脳会談は4月下旬に行われる見込みだと伝えた」

 

香港メディア『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』によれば、米中首脳会談は6月説を流している。また、『ブルームバーグ』は習氏の訪米が4月下旬とし、「国賓待遇」を求めているという。このように、米中それぞれの取材源での考えを伝えて興味ぶかい。両報道をまとめると、国賓待遇がなければ6月、国賓待遇ならば4月下旬に米中首脳会談が開かれると言うことか。国賓待遇ならば、最終決着が付かなくても、トランプ氏の「ちゃぶ台返し」はないだろうという、憶測である。

 


(2)「大紀元の取材に答えた米サウスカロライナ大学の謝田教授によると、米中首脳会談の延期については、「時間稼ぎという中国側の策略」とみている。「中国当局が国賓としての公式訪問を要求しているのは、米朝首脳会談のように、トランプ大統領が再び『立ち去る』のを恐れているためだ。トランプ大統領にとって、合意に至るか否かはメンツに関わる問題ではない。しかし中国の首脳は違う。メンツに関わる問題であるうえ、場合によっては失脚につながる」 中国の習近平国家主席が、訪米することで、「貿易合意が国事訪問の一環であることを示すことができる。また、合意に至らない場合でも、メンツを保てる」と謝田教授は述べた」

 

米中首脳会談の延期については、第三の見方がある。「時間稼ぎという中国側の策略」とみているという。その具体的なものは、次のパラグラフに出てくる。

 

(3)米『ボイス・オブ・アメリカ』19日付によると、専門家の間では、中国当局が時間を稼ぎながら、米国内の情勢が変化することを望んでいるとの見方が多い。中国側は、いわゆるロシアゲートや最近のボーイング問題などで、米国内のトランプ政権への反発や圧力が強まることを期待している。これにより、米中通商協議でトランプ政権は強気に出ることができなくなるという。しかし、謝田教授は『トランプ政権は中国の策略に気づいている。つまり、中国側に時間を与えれば与えるほど、通商協議が棚上げされる可能性もある』と話した」

 

中国が、時間稼ぎをしているのは、いわゆるロシアゲートや最近のボーイング問題などで、米国内のトランプ政権への反発や圧力が強まることを期待しているというもの。これによって、トランプ氏の強硬姿勢が和らぐという期待だ。これを意識した発言が、トランプ氏から出てきた。ロシアゲート報告は公開する。通商協議の妥結が遅れれば、その間の関税収入がある、としている。米国は、「損をしていない」という立場だ。

 


(4)「米中通商協議の進展が遅くなった背景は、米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ20日付によれば次のようなものだ。米国は、将来中国側が貿易合意を履行しない場合、米国は対中関税制裁を実施するが、それに対して中国が報復措置をとらないよう要求した。しかし、中国はこの提案を拒否した。さらに、米中双方は、現在実施されている追加関税をどう撤廃していくのかについても、意見が対立している。米国側は、中国当局が貿易合意を一定の程度まで履行したら撤廃するとの認識を示した。これに対して、中国側は、合意後直ちに追加関税を撤廃することを希望している」

 

米中協議の遅れている最大の理由は、次の点をめぐる交渉と見られる。将来、中国側が貿易合意を履行しない場合、米国は対中関税制裁を実施する。中国はその場合、報復関税を行わないという約束をせよ、と米国が迫っているのだ。米国はまた、中国が完全履行するまで、制裁関税を撤廃しないと主張している。これをめぐっての結論が出ず、調整の時間がかかっているようだ。

 

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https://www.mag2.com/p/money/652352