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中国が、「世界の工場」で輝いていた時代は終わった。TPP11(環太平洋経済連携協定)が昨年末に発効して以来、中国への関心は低下している。中国の内需を目的にする生産以外は、他地域での生産がコスト的にも有利であるからだ。さらに、米中貿易戦争は覇権問題が絡むだけに、米国による「中国叩き」は継続する。こういう国際情勢の変化を考えれば、中国に止まる理由は少なくなっている。

 

『サーチナ』(3月24日付け)は、「日本企業は中国から撤退すべきではない! コストだけを見ていてはチャンスを失う」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国メディア『今日頭条』(3月21日付け)、中国から徹底する日本企業が相次いでいるのはなぜかと問いかける記事を掲載し、その要因を考察している。記事は、中国を離れる決断を下す日本企業は少数ではないと主張し、中国人なら誰でも知るような大手メーカーが中国国内の工場を閉鎖する動きが加速していると紹介。そして、撤退の理由を見てみると、コモディティ化した製品群からの撤退をはじめとする『中国とは直接関係のない要因』による中国撤退も多いと指摘した」

2012年の日本の対中直接投資は134億ドル、ASEAN主要国への投資額は64億ドルだったものが、17年の対中直接投資は96億ドルまで減少し、ASEAN主要国への投資額は220億ドルまで急増している。日中の政治対立により、日本企業が中国で「迫害」されたことも「脱中国」に拍車を掛けている。「反日」の中国よりも、「親日」のASEANを選んだのは致し方あるまい。中国は、今になって慌てているが遅いのだ。

 



中国の労働力人口は今後、ますます減少していく。日本以上のスピードで、高齢化が進むことを考えれば、ASEANは市場としも有望になる。もう一つ重要なのはTPPである。現在、タイが加盟申請の構えである。タイは、中国に次ぐ自動車生産国を目指している。将来、米国がTPPに復帰するようになれば、ASEANが「第二の中国」になるのは決定的である。中国は、共産党体制で国有企業中心の産業構造を転換できない結果、TPP参加は不可能である。そう言っては気の毒だが、世界市場から取り残されよう。


(2)「同期間中、日本人のASEAN主要国における駐在員数が32%増加する一方、日本人の中国駐在員の数は16%も減少したと伝え、日本企業が中国から東南アジアへとシフトしつつあるのは事実だと主張、こうしたシフトは主に中国国内で生産することのコスト優位がなくなったためであると論じた。続けて、東南アジアの人件費は今やさほど安いわけではないと伝えたほか、経済的なインフラもまだ未成熟であるため、企業にとってはコスト増の要因は少なくないはずだと強調。逆に中国は人件費こそ高くなったが、すでに世界最大の消費市場へと成長していると主張し、『コストだけを理由に中国から撤退するのは大きなビジネスチャンスを失うことになる』と伝え、日本企業は中国から撤退すべきではないとの見方を示した」

 


中国の人件費が急激に上がったのは、政府が最低賃金の大幅引上げを行なった結果だ。理由は、所得格差の縮小である。だが、生産性を上回る賃上げになったので、外資系企業が中国脱出を図った。このパラグラフでは触れていないが、小規模企業にも共産党委員会がつくられている。これは、共産党による経営監視であって、外資系企業には耐えられない話である。中国政府が、こうした世界の潮流と違うことを始めている以上、脱中国は不可避となろう。


メルマガ37号 「文在寅の大誤算、日本企業『資産差し押え』は韓国衰退の引き金」が、下記の『マネー・ボイス』で紹介されました。ご覧下さい。

https://www.mag2.com/p/money/652352