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中国で高級車が相次いで値下げされた。これまで、国有銀行から自動車ローンが付いたので、販売は小型車に比べて有利であった。それが、ついに高級車まで販売不振の波が押し寄せている。中国の自動車市場は、普及率の天井とされる20%に接近している。新規購入よりも買い換えが主体になる販売環境である。

 

背景にあるのは自動車市場の低迷だ。昨年、28年ぶりにマイナス成長になった自動車販売台数は、今年なっても回復の兆しを見せていない。高級車の値下げが可能になった理由は、増値税の引き下げだ。増値税は日本の消費税に相当する付加価値税で、物品の売買、加工、修理役務に課税される。中国税収の4割近くを占める。先の全人代(国会に相当)の政府活動報告で製造業などの税率を現行の16%から13%に引下げが発表された。この減税分の恩恵が早速、高級車値下げとなって表れたもの。

 

『レコードチャイナ』(3月24日付け)は、「中国で高級車相次いで値下げ、背景に販売台数の低迷、政府は税制面からもテコ入れ」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国網によると、16日に値下げの口火を切ったのはドイツのベンツ。メルセデス・AMGの希望小売価格は最大64000元(約1024000円)の引き下げ、メルセデス・マイバッハは最大6万元(約96万円)、メルセデス・ベンツは最大4万元(約64万円)、スマートは最大7000元(約112000円)の値下げとなる」

 


(2)「BMW(中国)と華晨宝馬(BMW)も続いた。両社は16日、即日から中国販売モデルの希望小売価格を引き下げると発表。BMWが中国で生産するBMW 3シリーズ、5シリーズ、X3X57シリーズなどのほか、ミニブランドの傘下全モデルを含め値下げ幅は最大6万元という」

 

(3)「16日午後にはジャガーランドローバーが追随し公式サイトで、即日から中国で販売するジャガーとランドローバーの全シリーズの希望小売価格を引き下げると発表した。ジャガーの値下げ幅は最大42000元(約672000円)、ランドローバーは最大85000元(約136万円)。ランドローバー・レンジローバー輸入モデルは33000元(約528000円)、ジャガー・XFLは最大15000元(約24万円)の値下げとなる。ボルボやリンカーンも希望小売価格を引き下げた」



(4)「高級車値下げの理由について、中国網は「中国自動車市場が低迷し、販売が巨大な圧力に直面していることも関係している」と説明した。2018年に全体の販売台数が減少する一方で高級車は前年比9%増加したが、市場が低迷する中で、高級車ブランドの好成績は19年まで続かなかった。19年12月の国内の狭義の乗用車販売台数は3333000台で前年同期比9.8%減少、高級車メーカーの出荷台数は4%減少となった。2月の高級車メーカーの出荷台数は前年同期比2%減少し、小売台数は3%減少した」。

値下げしたからと言って、すぐに売り上げが回復するという生やさしい状況にないと見られる。冒頭に指摘したように、普及率の壁がある。慌てて買い換える必要もなく、日本でもそうだったが、買い換え期間は先へ延ばされるであろう。

 

エコノミストには、年内の販売回復を予想する向きもいるが、それは困難であろう。中国経済が、在庫循環と設備投資循環のボトムに当っているので、かなり厳しい経済減速を余儀なくされるはずだ。楽観論に立つのは危険であろう。


メルマガ37号 「文在寅の大誤算、日本企業『資産差し押え』は韓国衰退の引き金」が、下記の『マネー・ボイス』で紹介されました。ご覧下さい。

https://www.mag2.com/p/money/652352