テイカカズラ
   

韓国外交は、完全に行き詰まっている。日米と疎遠になっているからだ。「積弊一掃」という名の下に、過去10年間の保守党による外交路線と外交スタッフを排斥した結果が、この惨状を招いた。外交に素人の人間が、何人集まっても無力であることに変わりない。

 

米国務省は、韓国の外交スタッフに対して「北朝鮮の開城工業団地や金剛山観光開発のテーマならば、ワシントンへ来ないでくれ」というほど、米韓関係は悪化している。韓国が、この問題で北朝鮮へ深くコミットしたからであろう。文在寅大統領が、金正恩国務委員長に「約束」してしまったのだ。この辺りにも、文氏の軽率さが表れている。

 

『中央日報』(3月26日付け)は、「米国務省、韓国外交部に金剛山のことを言うなら来るな」と題する記事を掲載した。

 

(1)「『金剛山(クムガンサン)観光再開と開城(ケソン)工業団地再稼働問題を言及するつもりなら(ワシントンに)来ないでもらいたい』。先月27~28日、ベトナム・ハノイで開かれた2回目の米朝首脳会談が決裂した後、韓米協議を推進する韓国外交部に対して米国務省の官僚がワシントンの韓国側消息筋に用心深く伝えたという言葉だ。米国務省・議会に広い人脈を持つこの消息筋は25日、「米国側は韓国外交部にも迂回的にこのような意思を伝達したと承知している」と明らかにした。彼は「開城工業団地と金剛山観光の再開方案に苦心していた青瓦台(チョンワデ、大統領府)と、その話は取り出さないようにしようというホワイトハウスの間を調整しなければならないソウルの外交安保部署が困った立場に立たされた」と話した」

 


韓国外交は現在、北朝鮮には「袖」にされ、米国には門前払いという状態である。責任は、北へ「安請け合い」した文氏にある。社会派弁護士の文氏が、北朝鮮の金正恩被告人の弁護人を買って出ているが、米国という裁判所に拒絶されている構図だ。文氏の頭では、北朝鮮の窮状を救ってやるという弁護士意識であろう。被告人が、どのような悪事を働いたとしても、少しでも罪を軽くしてやるという意識が、米国という裁判所を怒らせているのだ。

 

北朝鮮は、完全に過去の犯罪を白状していないし、依然として犯罪行為に手を染めている。そういう被告人を弁護すれば、裁判所は怒りを顕わにするに違いない。ここは弁護人・文在寅の完全敗北である。

 

(2)「韓米関係の異常兆候はソウルの外交安保ラインにも影響を及ぼしている。自由に動ける幅も減った。外交安保部署のある当局者は、最近周囲に「このような状況では米国を説得するのは容易でない。国益のためには(青瓦台に)苦言を呈するべきではないかという気がする」と用心深く吐露したという」

 

韓国大統領府は、米国への認識を誤っている。米国が過去、どれだけ北朝鮮と交渉しながら騙されてきたか。そういう歴史の記録に基づいて、米国の対北朝鮮外交が行なわれている。韓国は、対北朝鮮に関する過去の交渉記録も交渉当事者の意見も聞かずに、突っ走っている。これでは、米韓交渉が上手く進むはずがない。米国から見た韓国は、北朝鮮に騙されているという印象にちがいない。それが事実であろう。文氏は、目を覚まさなければだめだ。



(3)「米国政府が韓国政府の声を避けるような気流はハノイ会談が決裂したあと加速している。日本のある外交消息筋はこの日、『ハノイ会談以降、米国は国務省だけでなく全方向から北朝鮮に対する本格的なスタディを始め、北朝鮮戦略の全面的検討と再確立に動いている』とし、『私も非公開で招待されてワシントンを訪問して自分の考えと展望を伝えたが、韓国政府関係者とは距離を置くような雰囲気だった』と伝えた。彼は『米国当局者には“北朝鮮に傾倒した韓国政府とは話が通じない。代わりに中立的な専門家を呼ぼう”という雰囲気があった』と伝えた。彼がワシントンを訪れた時、制裁を担当する財務省の核心官僚や情報部処当局者などが出席して彼の意見を聴取したという」

 

米国政府は、もはや韓国の外交スタッフの意見を聞いても無駄という意識に変っている。そこで中立の日本人専門家の意見を聞くようになった。韓国は、「反日」をやらなければ、気楽に日本の外交専門家の意見を聞いたり、ワシントンへの根回しを依頼するなど、多方面の外交ルートを使えたであろう。韓国は、狭量な反日路線で自ら、その道を絶ってしまっている。日本という国を軽視するどころか、侮辱していることが現在の袋小路を招いた原因である。いい経験になるだろう。
 
メルマガ37号 「文在寅の大誤算、日本企業『資産差し押え』は韓国衰退の引き金」が、下記の『マネー・ボイス』で紹介されました。ご覧下さい。

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