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米国の特別捜査官報告で、トランプ大統領の「白」が概ね決まったことから、中国は自らの立場不利を自覚したようだ。途端に、国内市場の開放や知的財産権保護を強調し始めた。この裏には、中国の外貨資金繰りを助ける狙いも込められている。中国経済が追い詰められていることの反映であろう。

 

『ロイター』(3月26日付け)は、「中国首相『海外からの投資に一段と門戸開く』、外国企業幹部と会談」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国の李克強首相は外国企業の幹部と会談し、海外からの投資に対し一段と門戸を開く考えをあらためて表明するとともに、外国企業の権利保護を巡る懸念の払しょくに努めた。政府のウェブサイトに25日夜に掲載された声明によると、李首相は『中国発展フォーラム』の閉会に合わせてダイムラー、IBM、BMW、ファイザー、リオ・ティントの経営トップらと会談した」

 

李首相が、海外一流企業のトップと会談した目的は、中国の世界的なサプライチェーの機能を守りたい意志表示である。それは、海外の投資受入れを歓迎する意味である。米中貿易戦争で、米国から中国の閉鎖性を鋭く追及されているだけに、何らかの意志表示を迫られていたのであろう。

 

(2)「李首相はその中で、外国の投資家や企業により透明性が高く開かれた事業環境を提供するとともに、知的財産権の保護や強制的な技術移転の是正を保証することに中国はコミットしていると述べた。米中通商協議に関する質問にも答えたが、声明では詳細に触れていない。中国の苗ウ工業情報相は25日、工業部門に対する政府の細かい管理や直接介入を削減する方針を明らかにした。しかし中国は、製造強国を目指す長期的な計画は取り下げていない」

 

海外企業が、中国進出に当たり最も懸念しているのは、知的財産権の保護や強制的な技術移転の是正保証問題である。李首相は、その点の懸念払拭に務めているが、海外企業は100%安心できるものではない。今回、大急ぎでまとめられた法律には、「自主的な技術移転」を認めるという抜け穴が用意されている。昨日までの技術泥棒が、今日から真人間になるはずもなく、知的財産権の保護や強制的な技術移転の是正の保証は、眉唾とする見方が圧倒的である。米国政府が要求するように、違反したときのペナルティは不可欠であろう。罰則がなければ、中国政府に守らせることができないからだ。

 

(3)「李首相は会談で、『中国は革新や発展の余地を生む新しい技術の開発や産業の発展を奨励する』と述べ、芽生えつつある技術革新を『殺す』ことを中国は容認しないと言明した。さらに、中国は妥当なレンジでの経済成長を維持すると述べ、経済への圧力を巡る懸念の払しょくに努めた」

 

李首相は、「妥当なレンジでの経済成長を維持する」と言っても、にわかに信じられない。「妥当なレンジ」とは、曖昧模糊である。こういう言葉を発してまで、海外企業の投資を待っているほど、ドル資金が必要になっている。今年は、確実に経常赤字へ転落する。赤字では対外投資は原則的に無理になる。「一帯一路」など、海外でばらまく資金量は莫大であるだけに悩みは深い。そこで、海外企業の対内直接投資によって、海外投資資金を可能な限り賄いたいという事情がある。まさに、自転車操業である。大言壮語してきた中国も、台所事情はこれほど厳しいものがある。

 

『ブルームバーグ』(3月26日付け)は、「関税下げや債券発行加速を、中国副首相、景気支援を表明」と題する記事を掲載した。

 

(4)「韓正副首相は24日に北京で開かれた中国発展構想フォーラムで、中国が経済の自由化を進める中で、今後も輸入関税の引き下げを継続し外国企業にとって最上の環境を構築していくと表明した。関税引き下げの詳細については言及しなかった。韓副首相は、知的財産権保護の改善や技術移転強要の禁止などの政策を再確認した。劉昆財政相も同フォーラムで、政府が債券発行を加速させ、その調達資金を内需促進に利用する方針を示した。中国副首相らのこうした表明は、今週の米中貿易協議の前触れとなるもので、両国の『休戦』を楽観させる新たなヒントとなりそうだ」。

 

中国経済の現状が、いかに悪化しているかを問わず語りに示している。外国企業に投資して貰わなければ、資金的な行き詰まることが透けて見えるのだ。


メルマガ37号 「文在寅の大誤算、日本企業『資産差し押え』は韓国衰退の引き金」が、下記の『マネー・ボイス』で紹介されました。ご覧下さい。

https://www.mag2.com/p/money/652352