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中国は、EV(電気自動車)の世界大国を目指している。その先兵がBYD(比亜迪)である。米国の「投資の神様」と言われるウォーレン・バフェット氏が、その将来性を買って大株主に名を連ねていることでも有名だ。

 

BYDは、バフェット氏からお墨付きを貰うほどだから、高収益企業と思いきや現実は「月とスッポン」である。売上高営業利益率は、昨年12月期で3.3%に過ぎない。これでは「ゾンビ企業」になりかねない危険ラインである。なぜこうなったのか。

 

『日本経済新聞 電子版』(3月27日付け)は、「BYD、利益率悪化、品質向上が急務に」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国の電気自動車(EV)最大手、比亜迪(BYD)の採算が悪化している。27日の発表によると2018年12月期の売上高営業利益率は3.%と直近のピークの16年12月期の5.%から低下した。EV値下げの原資となってきた補助金が減り、価格維持のための費用が増えたとみられる。『品質を高めて価格を引き上げられるかが課題だ』(みずほ銀行国際営業部の湯進主任研究員)

 

中国では、EVはもともと不人気であった。政府が強引にエンジン車からEVへ転換させたものだ。例えば、エンジン車のナンバープレートの取得を困難にする一方、高値で売るというはなはだ高圧的なやり方でEVを押しつけてきた。EVでは、ナンバープレートは無料交付で無抽選。中国ではEVの市場性がなかったのだ。

 

その不人気のEVに、補助金が付かなくなる。あるいは、減らされる事態になれば、EVは見向きもされなくなる「運命」であった。EVが、なぜ中国で不人気なのか。その合理的な理由は、航続距離を除けばなさそうだ。強いて探せば、エンジン車のような「快音」を出さず、ステータスにならないぐらいであろう。中国のような「見栄」の社会では、エンジン車のような「擬音」を出せば、人気が出るかも知れない。中国人の見栄は、日本人の想像を超えている。

 


(2)「BYDは11年に中国大手で初めて個人向けEVの量販を開始。車種を増やし、補助金も追い風にEVなど新エネルギー車の販売を伸ばしてきた。15年の乗用車の新車販売は約45万台で新エネ車の比率は1割強だったが、18年は50万台のうち半分近くが新エネ車だ。しかし17年からの補助金削減で、売り上げは伸びても利益率は17年12月期から下がり始めた。採算の改善には、品質を高め、補助金なしでも売れるEVを製造することが急務となっている

 

BYDは、蓄電池のメーカーである。それが、「二輪電動車」に進出して成功し、四輪車メーカーになった経緯がある。日本のホンダのような二輪車(電気)であるが、技術基盤は大違いだ。私が初めて上海へ行ったとき、BYDの「二輪電動車」が大人気であった。雑踏の中を音もせずに「二輪電動車」が表れ、当初は驚いたものだ。

 

このことから分るように、自転車メーカーが四輪自動車メーカーになったようなもの。「採算の改善には、品質を高め、補助金なしでも売れるEVを製造することが急務」と記事では指摘している。その通りだ。繰り返すが、自転車メーカーが四輪自動車メーカーになったのだから、売れる車を造れるはずがない。このBYDが、中国EVのトップメーカーというのだから、他は推して知るべしだ。

 

(3)「中国政府は10年から、EVなど新エネルギー車産業育成のため補助金支給を開始。EVの販売台数に応じて補助金がメーカーに支給された。メーカーはこれを原資に値下げして需要を開拓。15年からは中国メーカー製の電池の搭載を支給条件とし、事実上、中国EV勢が有利になるようにした。その後、中国はEVでも世界最大市場に成長。18年の新エネ車の総販売台数は17年比62%増の125万台で、大半を中国勢が占め外資系の存在感は小さい」

 

外資系EVメーカーが、技術的に未熟な中国EVメーカーと競争になれば、シェアを勝ち取るのは難しいことではないだろう。最大の問題は、ユーザーにEVの良さを確信させることだろう。現状では、当局の「無理強い販売」に過ぎない。それだけに「EV反発」は根強いものがあるように思える。

メルマガ37号 「文在寅の大誤算、日本企業『資産差し押え』は韓国衰退の引き金」が、下記の『マネー・ボイス』で紹介されました。ご覧下さい。

https://www.mag2.com/p/money/652352