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文在寅大統領は、完全な皇帝である。「自分の政策は正しいから変えない」と言い張っているが、昨年のノーベル経済学賞受賞学者ポール・ローマー教授は厳しく批判した。「文皇帝」は顔色なしである。

 

文氏が、あの物腰から想像もできない「強硬姿勢」に転じている背景には、来年の国会議員選挙で「親文派」を大量に当選させたい思惑が働いているという。「非文派」を排除するのだ。かつて、朴槿惠大統領(当時)が、「親朴派」を国会議員選挙で大量に立候補させ、落選した苦い経験を繰り返すだろうと話題に上がっている。

 

このように文氏は、自らの権力維持に動いているが、現在の最低賃金の大幅引上げは自らの首を締める結果を招きそうだ。冒頭に挙げたローマー教授は、文政策を次のように批判した。

 



『中央日報』(3月28日付け)は、「ノーベル経済学賞受賞者、雇用のふりをする雇用ではならない、韓国の公共アルバイトに直撃弾」と題する記事を掲載した。

 

昨年ノーベル経済学賞受賞者であるニューヨーク大学のポール・ローマー教授は27日、「最低賃金引き上げが労働需要を減少させ労働者の雇用を奪っていきかねない」と警告した。大韓商工会議所がこの日ソウル商議会館で開いた「革新成長、韓国経済が進むべき道」という主題のセミナーで、だ。彼は「最低賃金引き上げ政策により雇用市場で失業者数が増えたとすれば、(この政策で)当面の問題を解決するのは難しいだろう」と診断した。ローマー教授は技術革新が成長を導くという「内生的成長理論」で昨年ノーベル経済学賞を受賞した。

(1)「ローマー教授は韓国政府が推進中の『所得主導成長政策』の妥当性を計る尺度として「雇用」を挙げた。彼は「所得主導成長は政府が補助金支給などを通じて推進する景気振興政策の一種。すでにさまざまな国で試みた政策だ」と説明した。続けて「政策施行結果はうまくいったり失敗したりもした。この政策で失業者数が減ったなら構わないが、むしろ増えたなら問題」と話した」

 

最低賃金の大幅引上げを行なって、雇用が増えたのならば問題ない。失業者が増えた結果から見れば、文大統領の最賃政策は明らかに失敗している。毎度、私が上げる例だが、フランスも同じことを行い大失敗した。そこでフランスはすぐに手直したが、韓国は「知らぬ顔の半兵衛」を決め込んでいる。これほど、非民主的大統領は存在しない。自らの権力維持ならば、大衆を犠牲にしても構わない。習近平氏とどこが違うだろうか。

(2)「彼は雇用を創出するためには政府政策より民間の役割に
注目すべきと強調した。ローマー教授は航空産業を例に挙げ、『政府は少数の担当者を雇用して航空産業の安全規制などを作って守るよう誘導する役割をするもので、航空産業雇用の大部分は民間航空会社が創出する』と説明した」

 

政府の仕事は、航空産業に喩えれば、「航空管制官」のようなものだ。航空機の発着の安全を図れば、後は民間航空会社がパイロットを雇い航空事業を行ない雇用が増える。文政権は、このすべてを国家がやろうという話である。大学時代、まともに経済の授業を受けず、火焔瓶闘争に精を出していたのであろう。経済の骨格を理解していない大統領である。




(3)「良質の雇用創出に向けた先決課題としては、労働市場の柔軟性向上を最初に挙げた。ローマー教授は『正規職雇用を増やすためには労働市場の柔軟性を育てることがひとつの対策で解答になり得る。柔軟性が増えれば新たな雇用が生まれ、若い世代は仕事を探す機会を得ることになる』と説明した。続けて『別の職場に移ること自体が容易にならなければならず、雇用主の立場で制約があってはならない」』と主張した」

 

労働市場の流動化・柔軟性は不可欠である。働き方改革で、幾通りかの勤務方法があるはずだ。終身雇用・年功序列賃金では、硬直化した労働市場に転落する。かつての日本もそうだった。これが、どれだけ企業も個人も共倒れになっていたか。「失われた20年」には、硬直化した労働慣行も影響した。韓国は今も、同じ失敗を繰り返している。公務員願望があれだけ強い裏には、終身雇用・年功序列賃金が 牢固として抜きがたくなっていることの証拠だ。この悪弊を定着化させているのが文在寅である。あえて、敬称を付けたくない気持ちになる。

メルマガ37号 「文在寅の大誤算、日本企業『資産差し押え』は韓国衰退の引き金」が、下記の『マネー・ボイス』で紹介されました。ご覧下さい。

https://www.mag2.com/p/money/652352