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韓国では、経済も政治もすべて「思い込み」で行なわれている。その思い込みは、学生時代の「浅薄」な知識に基づいている。その後、進歩していないところが深刻だ。学生時代、軍事政権に対抗すべく火炎瓶を投げて闘った。それは、若者特有の「正義」のしからしめるもので、誰も非難はできない。

 

問題は、その時の闘争仲間を大統領府秘書官に取り立てて政治を行なっていることだ。まるで、学生時代のサークル活動の延長のようなものである。学生運動家の思想と言えば、「反資本主義」が通り相場だ。社会へ出て揉まれれば、市場経済が統制経済よりもはるかに公正・効率であることが分かるはずである。文在寅氏と学生運動仲間は、北朝鮮の「チュチェ思想」に凝り固まった集団である。「親中朝・反日米」が根本にあるから、市場経済の仕組みを勉強する意欲も機会もなかったであろう。

 

その結末が、現在の韓国経済の惨憺たる状況を招いても、それすら正確に認識できない悲劇的な事態だ。医師に喩えれば「ヤブ医者」だが、医師として国家試験に合格するはずもない人たちである。それが、医師のような格好し白衣をまとい、聴診器を持っている。韓国の悲劇は、まさに学生運動家上がりが大統領府を占領したことにある。あるいは、「無能力者革命」と言ってもいい。

 


『朝鮮日報』(3月30日付け)は、「文大統領『経済堅調』発言の10日後に発覚したトリプルマイナス」と題する社説を掲載した。

 

(1)「今年2月の経済3大軸(生産・投資・消費)が一斉にダウンする「トリプルマイナス」を記録した。現在の景気の流れを示す一致指数循環変動値はアジア通貨危機以降、二十数年ぶりに11カ月連続でダウンを続けている。36カ月後の景気を占う景気先行指数も9カ月連続でダウンしており、見通しはさらに暗い。どれ一つとっても良い所がない。「半導体の錯覚」がなくなり、不振にあえぐ経済のありのままの姿があらわになった」

 

文大統領は、執務室に30種類程度の経済統計パネルを持ち込んでいる。就任時に、記者団に公開したほど。そのパネルを毎日見ているのだろうか。経済統計の仕組みを知らない文氏である。「猫に小判」だ。秘書にも、それを説明できる基本知識を持っている人間がいないに違いない。今さら、恥ずかしくて「経済知識がない」とは言えないのだろう。この経済に対する無知識・無教養が、韓国経済を混乱に陥れている。朝鮮李朝の「バカ殿」と同じ振る舞いだ。

 

景気動向指数は、森羅万象と言われる経済現象を30前後の指標にまとめたものだ。航空機のコックピットに並ぶ「計器」そのものが、景気動向指数である。この指数の見方が分らないのだ。パイロットが、コックピットの計器の読み方を知らないで「盲飛行」すると同じで、韓国経済は墜落の危険性に遭遇している。40%の国民が、こういう大統領を事情も知らないで支持している。「盲飛行」の乗客なのだ。

 

(2)「それにもかかわらず、経済を総括する企画財政部(省に相当)は半月前、「今年に入って産業活動および経済心理の関連指標は改善している様子で、肯定的なモメンタム(勢い)がある」と診断した。これでは国の経済総括省庁ではなく、まるで与党・共に民主党の経済研究所のようだ。このデタラメな報告をもとに文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「経済は堅調な流れ」にあり、「改善する様子が見られる」というとんでもない発言をする状況に至った。今年1月の生産・消費が増えたのは「旧正月連休特需」のためだとかなりの人が分かっていた。官僚たちはこれを伝えず、大統領の耳に心地いい報告しかしなかった。そうして文在寅大統領はまた、とんでもない発言で国民をあ然とさせた。こうしたことはこれで一体何回目だろうか」

 

下線を引いた部分を整理しておく。

    経済を総括する企画財政部(省に相当)は半月前、「今年に入って産業活動および経済心理の関連指標は改善している。肯定的なモメンタム(勢い)がある」と診断した。

 

    このデタラメな報告をもとに文在寅大統領は「経済は堅調な流れ」にあり、「改善する様子が見られる」というとんでもない発言をした。

 

    今年1月の生産・消費が増えたのは、「旧正月連休特需」のためだとかなりの人が分かっていた。官僚たちはこれを伝えず、大統領の耳に心地いい報告をした。

 

景気動向指数の一致指数はアジア通貨危機以降、二十数年ぶりに11カ月連続のダウンを続けている。36カ月後の景気を占う景気先行指数も9カ月連続でダウンしている。こういう事態を深刻に受け止めなかった企画財政部は、「無能力」と言うよりも「職務放棄」に値する。

 

先行・一致の両指数が揃って落込む事態は普通、起らないものだ。先ず、先行指数が低下した後、一致指数の低下になる。それが逆転して、一致指数の低下が先に起ったのは、「最低賃金の大幅引上げ」という人為的なブレーキが突然かかった結果である。その意味で、今回の不況は「大統領不況」と命名すべきだ。