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韓国は、先の国会議員補選で与党候補がすべて敗退した。政権党が、国民の支持を得られなかったのは深刻である。この人気低迷は、文大統領の支持率が過去最低の41%になったことで証明された形だ。

 

『中央日報』(4月5日付け)は、「文大統領、就任後最低の支持率大統領選の得票率レベルに」と題する記事を掲載した。

 

文在寅大統領の国政支持率が2年前の大統領選挙当時の得票率(41.1%)と同じ水準になった。

(1)「韓国ギャラップが5日に発表した週間定例調査で、文大統領の職務遂行に対する肯定的な評価は41%だった。大統領の支持率が大統領選挙当時の得票率とほぼ同じになったということは、政権発足後に支持勢力に引き込んだ中道層がほとんど離脱したという意味と解釈される。一方、否定的な評価は49%だった。ギャラップの調査で文大統領の支持率41%は就任後の最低値であり、否定的な評価は最高値。先週と比べて肯定的な評価は2ポイント落ち、否定的な評価は3ポイント増えた」

 

文氏の大統領選得票率は41%である。今回の支持率はこれと並んだもので、政権発足後に支持に回った人たちがすべて離脱した形である。不支持は49%とほぼ半分にも及んでおり、文政権は正念場に立たされた。

 

これまで、大統領府は傍若無人な振る舞いが多く、「進歩派」のイメージから著しく逸脱したものであった。メディアから痛いところを突かれると、「それがなぜ問題か」、「前政権に戻っても良いのか」という傲慢な態度が批判されてきた。その批判が、ついに国民の声にまでなってきたわけだ。

 


(2)「否定的-肯定的な評価の差が8%ポイントまで広がり、誤差範囲(
±3.1%ポイント)を超えた。ギャラップの調査で否定的な評価が肯定的な評価を上回る『デスクロス』は今回が4回目だが、誤差範囲から外れたのは初めて。地域別には湖南(ホナム)を除いた全地域で否定的な評価が肯定的な評価より多かった。政界では、文大統領支持率が30%台に下落すれば『レームダック』が始まるという見方が出ている」

 

文大統領の国政支持率が下落している理由には、長官候補の人事聴聞会での道徳性問題、青瓦台(チョンワデ、大統領府)の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官の不動産投機疑惑が影響を及ぼしたと、ギャラップは分析した。

 

不支持という否定的な評価が、支持という肯定的な評価を上回る「デスクロス」は今回で4回目だ。ただ、誤差範囲から外れたのは初めて。支持率回復の可能性が低くなったことだ。このまま、支持率が30%台に落ちれば、「レームダック」となって政策遂行能力が低下する。

 


もっとも、現在ですら経済政策と外交政策が望ましい形から逸脱しているので、韓国政治は破滅的な動きをするのではと危惧される。正常化への期待は、きわめて薄いと言うほかない。

 

否定的な評価の理由は

「経済・民生問題の解決不足」(38%)

「北朝鮮関係重視・親北性向」(14%)

「雇用問題・雇用不足」(6%)

「人事問題」(5%)

 

肯定的な評価の理由は

「北朝鮮との関係改善」(16%)

「外交」(11%)

「最善を尽くす」(8%)

「福祉の拡大」(6%)

否定的な評価の拡大にはさまざまな要因が作動した。年齢別では20代(19-29歳)の肯定的-否定的な評価が41%-44%となり、先週(3月第4週、49%-37%)に比べて逆転幅が大きかった。

 

地域別にはソウルの不支持率が高かった。先週まで肯定的-否定的な評価が46%でほぼ同じだったが、今週は38%(肯定的)-52%(否定的)と、否定的な世論が明確に増えた。

以上の二つの点は、大きな意味を持っている。「進歩派」政権のイメージであれば、若者、特に首都ソウルでの支持率が最も高くて当然であろう。それが、不支持率が多く逆転現象になった。文政権にとって深刻な事態だ。