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文在寅大統領の現実感覚は、ズレていることがまた立証された。外国人観光客を誘致するには、文氏を大統領に押上げた「ローソクデモ」で有名な韓国人の民主意識の高さが、観光資源になると「宣った」のだ。

 

フランスのパリであれば、フランス革命に関わる史跡が沢山ある。それに加えて、ファッション・文化など多彩である。あのパリに比べて、ソウルの「ローソクデモ」といっても特別の史跡があるわけでない。世界の観光客が、ただのデモ行進した場所を見るためにソウルまで来るはずがない。文氏の提案は、子どもじみていておかしいのだ。

 


『朝鮮日報』(4月4日付け)は、「ろうそく革命を観光資源化、外国人客誘致を図る文大統領」と題する社説を掲載した。

 

昨年の韓国人出国者数は2869万人であるのに対し、韓国を訪れた外国人観光客は1534万人だった。韓国の人口は5100万人だ。昨年、日本に行った韓国人の延べ人数は754万人。昨年、韓国人が海外で使った金は284億ドル(約31655億円)で、観光赤字は132億ドル(約14714億円)に達する。差し引き152億ドルの赤字である。

 

(1)「政府は観光戦略会議を開き、2022年までに外国人観光客を2300万人に増やすと決めた。そうすべきだろう。ところが、実態とはかけ離れた口先だけの言葉だという印象は消せない。観光スポットもグルメも乏しい国なのに、観光シーズンになると必ずと言っていいほどぼったくり料金がひどくなる。最近の若者たちは国内旅行をする金額で格安航空会社の飛行機に乗って日本だけでなく台湾・ベトナム・タイなどに行く。国内旅行よりも満足度がはるかに高いからだ」

 

韓国旅行した経験のある人なら誰でも分るように、見るべきところが少ないのだ。私の経験では、旧李朝の王宮と言ってもただの木造建築である。奈良や京都の趣はない。このほか、映画撮影のスタジオを見学しただけでつまらない旅であった。その点、台湾旅行の方がはるかに見学する場所が多かった。

 


(2)「観光スポットやグルメといった観光インフラで、韓国がこれらの国々と比べものになるだろうか。今、世界のほとんどの国で観光客の交通手段は配車サービスアプリ『ウーバー(Uber)』が主流となっているが、韓国にはない。民泊サイト『エアビーアンドビー(Airbnb)』も韓国にはない。それなのに、大統領は観光戦略会議で『韓国は観光において非常に良い条件を備えている。特に、ろうそく革命(ろうそくデモ)以降の平和的な民主主義を生かした質の高い市民意識に対して(外国人の)好感度が高い』と言った。『所得主導成長』『脱原発』といった大失策も『ろうそく』をうんぬんするこのとんでもない考え方に端を発するものだ。もどかしいことこの上ない」

 

文氏は海外歴訪の折、相手国が外交辞令で褒める「ロウソクデモ」を真に受けているようだ。正直に言って、韓国人が質の高い市民意識を持っていると見ているだろうか。仮にそうだとしても、「市民意識」という抽象的なものが観光資源になるはずがない。観光とは、見て楽しく感動するものがあるか、否かによって価値が決まるものだ。文氏は驚くほど世情に疎い、霞でも食って生きている人種と思われる。この感覚で政治をやられたならば、韓国は確実に潰れる運命だろう。