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新年度予算の執行が始まってまだ4ヶ月である。文政権は、昨年に続き補正予算を組む羽目になった。景気失速が明らかになってきたからだ。

 

韓国の補正予算には、厳しい縛りがある。国家財政法89条が規定した追加補正予算編成条件は、「戦争や大規模災害が発生した場合。景気低迷・大量失業・南北経済協力など対内・外条件に重大な変化が発生するか、それが懸念される場合」である。立法の趣旨上、追加補正予算は非常用として用いなければならないという意味である。

 


『中央日報』(4月10日付け)は、「韓国経済は大丈夫だといって国の借金5兆ウォンで景気浮揚?」と題する記事を掲載した。

 

(1)「文在寅(ムン・ジェイン)政権は、今年470兆ウォン(約45兆円)規模のスーパー予算を編成した。それからわずか3カ月が過ぎた時点で、追加補正予算の編成を公表した。文政府になっては3回目、過去の政府まで含めても5回目である」

 

韓国は、健全財政主義である。補正予算編成に厳しい制約を付けているのは、財政膨張に歯止めを付ける目的である。だが、文政権はこの財政健全主義を放棄している。自らの失政の穴を補正予算でカバーするという、とんでもない政権である。最低賃金の大幅引上げが招いた補正予算である。

 

(2)「今年の追加補正予算は『6兆ウォン+α』に達する見込みだ。問題は、今回の追加補正予算には5兆ウォン規模の赤字国債の発行など『国の借金』まで動員されるかもしれないという点だ。非常状況なら金を借りてでも当然国の金を放出しなければならない。だが、これまで政府が言及してきた韓国経済に対する認識を振り返ってみると、そのような緊急状態では全くない。 わずか半月前の3月24日、青瓦台(チョンワデ、大統領府)は高位関係者の口を借りて『経済が難しい局面は抜け出したではないか』と診断した。企画財政部は3月の『最近の経済動向』で『肯定的モメンタムがある』とした

 

文政権は、最賃の大幅引上げがもたらした経済失速をつい半月前まで否定してきた。それが一転して補正予算の編成へと急カーブを切っている。なんとも定見のないことおびただしい政権である。こんな政府に経済の舵取りを任せておけば、韓国経済の沈没は不可避であろう。

 


(3)「与党の要人らは景気不振を懸念する報道機関と学界・財界の声に対して『経済危機をあおる汚染された世論』と公然と話した。それでも追加補正予算を検討するというのは論理的につじつまが合わない」

 

韓国与党は、政権運営能力はゼロである。与党は、労組や市民団体の活動家の集まりである。まともな政策執行能力を期待する方が間違っている。そのような訓練を受けたことがなく、ただ、メガホンで煽り立てる能力しかない集団であるのだ。

 

(4)「 政府が追加補正予算を検討中の細部項目を見ても納得しがたいことには変わりない。最終的に決まったものではないが、政府は粒子状物質への対応に2兆ウォン、雇用・社会セーフティネットの拡大に2兆ウォン、景気対応に1兆ウォン、残りは江原道(カンウォンド)山火事、浦項(ポハン)地震後続対策など、すべて合わせて「6兆+α」規模を検討中だ」

補正予算の項目は次の通りだ。

    粒子状物質への対応に2兆ウォン

    雇用・社会セーフティネットの拡大に2兆ウォン

    景気対応に1兆ウォン

    残りは江原道(カンウォンド)山火事、浦項(ポハン)地震後続対策など、

 

②と③は、明らかに景気対策費である。合計3兆ウォン(約3000億円)に達し、補正予算の半分を占めている。IMF(国際通貨基金)が、景気失速懸念で補正予算編成を勧めたことも影響しているが、韓国政治史上で最悪の政権であることは間違いない。