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米国は、対中通商協議でネックの補助金削減問題について、要求レベルを落とし一ヶ月前後で妥結したい意向だ。これで、米中貿易戦争は終結状況を迎える。

 

『ロイター』(4月15日付け)は、「米国、中国に求めていた補助金削減要求を緩和ー関係筋」と題する記事を掲載した。

 

(1)「複数の関係筋によると、米政府は、米中通商合意の条件として中国側に求めていた製造業向けの補助金削減要求を緩和した。中国政府が強く抵抗しているためという。米政府は今後1カ月前後で合意をまとめたいと考えており、補助金の削減については、米国側が望む通りのものは実現できないとの見方に傾いている。その代わり、米国の要求が相対的に通りやすいとみられる技術の強制移転の中止、知的財産の保護の改善、中国市場へのアクセス拡大など他の分野の問題に注力しているという。関係筋は『(補助金に関する)文言が盛り込まれないということではないが、非常に詳細な文言や具体的な文言にはならないだろう』と述べた」

 

中国は国有企業を中核としており、補助金と密接な関係を持っている。この結果、補助金削減に限度がある。米国は、補助金削減要求度を引下げ、技術の強制移転の中止、知的財産の保護の改善、中国市場へのアクセス拡大など他の分野の問題へ全力投球の構えである。

 


(2)「補助金は、中国の産業政策と密接に絡む問題だけに扱いが難しい。中国政府は、国有企業や戦略産業の長期発展のために補助金や優遇税制を活用。習近平国家主席は複数の経済分野で国の役割を強化している。関係筋は、『米国側が中国経済のあり方を変えることを『成功』と考えるなら、それは絶対に実現しないだろう』と指摘。『習氏が弱腰に見える合意は、習氏にとって無価値だ。どのような合意であれ、以前よりは良くなるが、一部の人を満足させることはできない。だがそれが政治というものだ』と述べた。関係筋が2月に明らかにしたところによると、中国側は市場を歪めている国内産業への補助金制度をやめる方針を表明したものの、その手段について詳細を提示していないという」

 

中国は、国有企業=補助金を軸とした経済である。だが、長い目でみれば効率的でないことは言うまでもない。共産党ゆえに国有企業にこだわっているが、世界の潮流とかけ離れている。共産主義が時代遅れである理由の一つはここにもある。習氏のメンツにこだわって経済改革ができないとは、本末転倒である。

 

(3)「中国の国有企業が、米国にとってプラスに働く可能性もある。トランプ政権は対中貿易赤字を減らすため、中国側が今後6年間で1兆ドルを超える高額商品を購入することを望んでいるが、こうした高額商品を購入するのは国有企業である可能性が高い。また米政府は、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の製品を排除するよう同盟国に呼びかけており、中国政府は通信分野で国の支援を減らすのではなく、増やす可能性がある」

 

皮肉にも、国有企業は米国製品を大量に輸入する可能性が出てきたという。今後6年間で、1兆ドルを超える高額商品を購入できる先は国有企業しかないというのだ。こういう事情が分ると、米国が補助金削減を強く要求できないのであろう。