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WTO(世界貿易機関)で、韓国の「福島海産物」輸入規制が勝訴したので日本に対して自信満々の姿勢を見せ始めた。文大統領は、「緻密に準備すれば貿易紛争で勝つことができるという自信を持ってほしい」と述べた。 また、「今後の別の紛争訴訟で参考にするためにも一審の敗訴原因と上訴審で変わった対応戦略など一審と二審を比較分析した資料を残す必要がある」と、検討を指示したという。以上は、『中央日報』(4月16日付け)が伝えた。

 

文氏の 「今後の別の紛争訴訟で参考にする」という意味は、日本が元徴用工に関する韓国大法院判決に対して、国際司法裁判所へ訴えることを想定したもの。韓国国内では、日本の要求を受けて国際司法裁判所で戦うべし、とまで強気が出てきた。

 

今回のWTO問題では、韓国でも「予想外の結果」という受け止め方である。敗訴を覚悟して必要なデータも提出しなかったのだ。それが、勝訴で沸き返っているのは、「生兵法は大怪我の基」になろう。韓国では次のような見方があるのだ。

 

西江大学のホ・ユン教授は、『日本政府は科学的に水産物の安全性を十分に立証していたので、今回の判定は意外だ』と言いながらも、『主権国家の食品衛生に対する裁量権を幅広く認めたものとだと見られる』と分析した。ただし、『今回の判定で日本産水産物の輸入が引き続き禁止されることで、韓日関係の行き詰まりが長引く恐れがある』との見方を示した」(『朝鮮日報』4月13日付け)


WTOは、主権国家である韓国の食品衛生に対する裁量権を幅広く認めたものである。科学的には日本の主張が認められているからだ。こういう合理的な解釈から逸脱した主張が現れた。調子に乗って、韓国のGDPがいずれ日本を抜くと主張するから驚く。

 


『中央日報』(4月16日付け)は、「賢明でない日本のWTO不服」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の
ナム・ジョンホ論説委員である。

 

(1)「12日の福島付近水産物輸入規制判定で韓国が日本に逆転勝訴したのは単なる貿易紛争での勝利ではない。少なくない日本人の胸中に存在する歪んだ韓国観に警鐘を鳴らした意味深い事件だ。 独島(ドクト、日本名・竹島)、慰安婦、強制徴用など韓日間の懸案をめぐって韓国側はいつも感情的で非理性的だと多くの日本人は錯覚している。しかし今回の世界貿易機関(WTO)の判定はこうした『非常識韓国』というフレームを完全に壊した。『グローバルスタンダード』という秤で韓国側の輸入規制を計っても全く問題がないということがWTOによって公認されたからだ」

まず、最初から勝ち誇っているが、WTOは「福島産海産物」が放射能汚染されていないと認めている。韓国の国民感情で輸入を認めないのは、「韓国の裁量権」としているものである。日本としては風評被害に遭ったもので、韓国の非科学的な姿勢が問われているのだ。

 

(2)「IMFによると、昨年の日本の1人あたり国内総生産(GDP、購買力基準)は世界28位(4万4227ドル)で、韓国はその次の29位(4万1351ドル)だ。韓国が2.6%、日本が1.0%という現在の経済成長率を考えると、遠からず逆転するだろう。このような先進国の韓国を礼儀のない国と罵倒するのがどれほど間違っているかを今回のWTOの判断は雄弁に語っている」

購買力基準とは、その国の物価基準でどれだけの購買力があるかを見る「便宜的尺度」である。物価が安い国ほど購買力基準は膨らむ。また、日本のGDPはドル高=円安によってドル表示のGDP規模が、円安の分だけ縮小されるという事実も知っていただきたい。

 

こういう「計算の約束ごと」を承知の上で、日韓の1人当たり名目GDP(購買力基準)を比較して、なんの意味があるのか。為替相場と物価動向で大きく揺れる点では、「一瞬」の話だ。それほど日韓を比較したければ、失業率はどうか。これこそ国民生活に直結している。

 

次は、日韓のGDPは「遠からず逆転するするだろう」と意気軒昂だが、そういう事態は逆立ちしても来ない。最大の要因は、人口規模である。現在でも1億2000万人と5000万人の差がある。合計特殊出生率では、日本1.4台(2025年には1.8を目標)。韓国は1を割って「0.98」。今後はさらに低下して行く。日本も人口は減るが、韓国の減少速度は日本を上回る。「世界最速」という新記録をつくるはずだ。論説委員たる者は、この程度の基本的知識を持たなければ困るのだ。

 

韓国のGDPは、この1~3月期で2.5%割れは確実である。来年は2%割れだ。間もなく、日本並みのGDP成長率になろう。その時、韓国で何が起るか。日本への接近論である。「反日」への反省論が高まるはずだ。