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中国は、米中貿易戦争で最も恐れていたハイテク企業の脱出第1号が、アップルiPhoneとなる。アップルから受託生産する香港資本の鴻海が、インドへの移転を決めたもの。この問題は、今年1月から話題にあがっていた。

 

アップルの「iPhone(アイフォーン)」の主要サプライヤーである台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が、インドでのiPhone生産を検討してきた。アップルは生産・販売の両面で中国への依存を軽減する。

 

『ブルームバーグ』(4月15日付け)は、「iPhone生産を中国からインドへ フォックスコンが主要拠点を変更」と題する記事を掲載した。

 

(1)「米アップルの「iPhone(アイフォーン)」の生産を請け負っているフォックスコン・テクノロジー・グループの郭台銘(テリー・ゴウ)会長は、年内にインドでのアイフォーン大型生産に入ることを明らかにした。これまで中国で集中的にアイフォーンを生産してきたフォックスコンにとって大きな転換となる。郭会長は台湾で行われた行事に出席し、『将来的に当社はインドのスマートフォン業界で非常に重要な役割を果たすだろう』述べ、『当社は生産ラインをインドに移管した』と話した」

 

昨年秋、米国のIT大手企業が訪中の際、中国の保護主義的な政策を改めなければ、中国を脱出すると警告してきた。アップルは、受託生産する鴻海と新立地を検討していた。一時は、ベトナムも候補地に上がったが、アイフォーン市場の有望性からインドへ決定したと見られる。

 

中国にとっては大きな痛手だ。雇用面で穴が開くほか、最先端企業の中国脱出で、もはや中国が必要でなくなったというイメージを与えるからだ。改めて、米国と貿易戦争に突入した習近平氏の誤算が悔やまれるであろう。

 

アイフォーン生産拠点が、インドへ移転する背景について見ておきたい。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月23日付け)は、「鴻海がインドでiPhone生産検討、アップルの脱中国支援か」と題する記事を掲載した。

 

(2)「鴻海は現在、アップルの委託を受けてiPhoneの大部分を中国で生産している。 関係筋によると、鴻海幹部はインドでの生産計画を予算案に盛り込むかどうか検討しており、郭台銘(テリー・ゴウ)董事長らを含む経営幹部が来月の旧正月(春節)後にインドを訪問する予定だという。米中通商紛争の長期化を受けて、多くのテクノロジー企業は中国に集中するサプライチェーン(供給網)の見直しを迫られており、鴻海が生産拠点としてインドに目を向けるのもこうした事情からだ」

 

米中貿易戦争で、中国の払う代償の大きさの一つが鴻海の主要生産拠点のインド移転である。サプライチェーンの見直しは今後、他企業でも確実に進む気配である。

 

(3)「中国市場が厳しさを増す一方で、インドは世界のハイテク企業を引きつけている。インドは生産拠点としてだけでなく、13億人の消費者を抱える巨大市場としても魅力的だ。調査会社イーマケターによると、インドのスマートフォン普及率はまだ25%程度にとどまる。アップルはインド市場の攻略に苦戦しており、昨年の市場シェアは2017年の約2%からさらに約1%に落ち込んだ。アップルはこれまで、インドでは主に廉価モデルを生産してきた。アップルの契約先である台湾の緯創資通(ウィストロン)は2017年、インド南部カルナータカ州で当時アップルのスマホで最も安かったiPhoneSE」の組み立てを開始した。SEはインドで生産された初のiPhoneで、ウィストロンはその後「6S」の組み立ても始めている」

 

インドのスマホ普及率は25%程度である。今後の拡大余地は大きいものの、アップルのシェアは1~2%と微々たるものだ。ここで、本格的生産に入れば、知名度も上がりシェアアップも実現する。アップルにとっては、鴻海の生産拠点移転は「いいことずくめ」という感じだ。

 

(4)「関係筋によると、鴻海はインドで有機ELOLED)ディスプレー搭載モデルなど、高価格帯機種の生産を検討しているようだ。アップルがインドで苦戦している理由の1つには、iPhoneが他のブランドに比べて相対的に値段が高いことがあるとされる。高額スマホをインドで生産できれば、アップルは中国からの輸入品に対して課されている20%の関税を回避することで、インドでの販売価格を引き下げることができるかもしれない」

 

インドは、高額スマホに20%もの関税を課している。現地生産によって、これが回避できるので、高額スマホの値下げが可能になる。アップルも鴻海も、生産拠点の移転は大きな意味を持っている。