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13月期の実質GDPは、前年同期比6.%増になった。成長率は18年10~12月期から横ばいを維持したことになっている。だが、先進国並みの前期比で見ると、1.%増となり、18年10~12月期(1.%)より減速した。前期比の伸びを年率換算した成長率は5.72%になる。これが、正規の成長率だ。景気の実感に近い名目成長率は前年同期比7.%となり、18年10~12月(9.%)から減速した。

 

世間の注目点は、「前年同期比」の成長率だけ。後は、すべて右から左へと素通りしている。これは、中国政府の「策略」である。「前期比」の増加率を4乗して年間経済成長率を見なければだめなのだ。前期比の伸びを年率換算した成長率は5.72%で、すでに6%を割ったのだ。まず、この点を記憶していただきたい。「前年同期比」は年間平均を見るに等しく、せっかく四半期GDPを計算しているのだから、前期比増加率を4乗して、年率成長率を見て、中国経済の実態を把握すべきだろう。

 

1~3月期の名目成長率は前年同期比7.8%である。マネーサプライ(M2)は1~3月期が8.3%である。通常の経済であれば、M2は11%あって当然である。信用創造能力が落ちている証拠だ。銀行が警戒して貸出を絞っている結果である。

 

中国の資金供給総額は、社会的融資総量で把握する。この1~3月期の社会的融資総量は急増しており、1~3月期の名目GDP増加額に対して約6倍近い金額になった。昨年1~3月期は、約4倍である。これから分ることは、この1~3月期は「借金漬け」にして、辛うじて達成した「前年同期比6.4%成長」である。前期比換算では5.72%である。

 

「借金漬け」の犠牲者は、家計であろう。高値で住宅を買っているからだ。

 


『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月17日付け)は、「中国不動産市場、低迷予想が外れそうな理由」と題する記事を掲載した。

 

(1)「2018年終盤、輸出の伸びが減速し、消費が落ち込む中、中国経済を実質的に支えたのは住宅市場だった。不動産市場が近く悪化に転じるとの懸念が広がっているが、そうした見方は間違っている可能性もある。主要指標の大半は明るい内容ではない。住宅販売の6カ月前後先の指標とされる土地購入面積は、1月と2月に前年同期比34%減少した。売れ残り住宅の床面積は2年ぶりに拡大している在庫の急減が最近の住宅ブームを下支えしていたことを考えれば、懸念すべき傾向だ。また住宅ローン金利は昨年終盤の水準よりは幾分下がったものの、依然として高い水準にある」

 

住宅在庫が値引きした結果、急に売れた点が不動産開発企業の資金繰りを楽にして、再び住宅開発に乗り出していることが予想される。

 

(2)「16日に発表されたデータによると、住宅価格の伸びは3月に加速に転じている。11~2月は4カ月連続で伸びが減速していたのとは対照的だ。また最近の政府の方針変更も追い風になるかもしれない。第一は、不動産に対する当局の姿勢が緩みつつあることだ。中国住宅都市農村建設省は3月開催の全国人民代表大会(全人大)で住宅政策に関するトーンを弱めていた。また、政府は出稼ぎ労働者や非居住学生による住宅購入を難しくしていた中規模都市の住宅規制を緩和した。一部アナリストは、これまで抑制されていた需要を解放すれば、住宅在庫の反転増加を相殺できるかもしれないとみている」

 

政府は、住宅在庫を減らすべく不動産への規制を緩和している。しかし、出稼ぎ労働者や非居住学生へ住宅購入を緩和したことは、問題の種をつくっている。農民工や学生にまで住宅を販売るとは、余りにも無謀である。確実な所得のない者に住宅ローンを組んでも、延滞は目に見えている。無責任な販売促進策である。

 

(3)「第二は、金融セクターが間接的に手を差し伸べる可能性があることだ。李克強首相と銀行規制当局は大手銀行に小規模企業への融資を増やすよう迫っている。中国では不動産投機はほぼ常に銀行融資の拡大を伴っており、また今回は小規模企業経営者が一部融資を不動産に使い回す手だてを見いだす可能が高い。したがって、住宅ローン融資の公式統計は、今年不動産市場に流入しているキャッシュと比較して、かなり控え目な数字になっている可能性がある

 

小規模企業経営者に融資して、住宅を買わせるということも非常識である。中国政府は、こういう常識では考えられない手段で住宅在庫を整理していることに驚く。政府が、スパイ行為など平気でやらせる背景には、「結果だけ出せば手段を選ばない」という便宜主義がはびこっているにちがいない。鄧小平の「白い猫でも黒い猫でもネズミを捕れば良い」という発言には、中国社会に巣食う便宜主義が牢固としてあるのだろう。

 

結局、1~3月期のGDP成長率には多くの問題が隠されている。家計のローンをさらに増やさせていることは確実である。タコが、自分の足を食っていると同じことをやっているのだ。問題は、さらに悪化している。習近平氏の延命策になっているからだ。