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中国は、「大言壮語」が好きな民族である。2050年をメドに米国から覇権を奪というトップ・シークレットを公然と発表したほど。奪われる側に立つ米国が、いかなる反応をするか無頓着である。習近平氏の不用意な「世界覇権論」発言が、今回の米中貿易戦争を招き、結果的に大損を被ることになった。

 

「一帯一路」もその傾向が強い。現代のシルクロードを海と陸で開拓すると壮大なことを始めたが、肝心の経常黒字が先細りになっており、今年は赤字が見込まれている。経常赤字では、経済の論理から言っても対外投資を継続不可能にさせる。しかも、相手国が返済不可能であることを承知の「債務漬け」にして担保を取り上げ悦に入ってきた。この「焦付け債権」発生は、対外投資戦略では落第なのだ。

 

これから、中国は経常赤字という緊急事態に直面し、「一帯一路」で日本の支援を仰がなければならない羽目になっている。愚かというか、先が見えないというか。ともかく、やることすべてが大雑把で問題を起こしている。はっきり言えば、幼稚な振る舞いである。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月23日付け)は、「日本の静かな『一帯一路』、 中国を上回る成果」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国の巨大経済圏構想『一帯一路』に関する報道は絶え間なく伝えられている。しかし、中国政府の対外投資戦略の中核を成す同構想は幾つかの点で、日本の静かな取り組みに後れを取っている。国際通貨基金(IMF)によると、2016年末には日本と中国の海外資産保有額がほぼ同水準となったが、それ以降は日本の対外投資が中国を数百億ドルも上回っている。日本の海外資産保有額は2018年第3四半期時点で1兆6670億ドル(約187兆円)だが、IMFの入手可能な最新データによると、中国は同年第2四半期時点で1兆5420億ドルだ。この差は、日本政府の国際融資拡大のまずまずの成功と、中国の『一帯一路』の限界を示すものだ

 

中国経済の特色は、膨大な人口だけである。その人口が、合計特殊出生率の低下とともに、急速な生産年齢人口比率の低下に直面している。要するに、潜在成長率の低下である。こうなると、中国経済は「のたうち回る」惨状を呈するほかない。その認識が、中国最高指導部になく、従来通りの「高望み」の立場に固執している。

 

日本の海外資産保有額は、昨年第3四半期で中国に対して1250億ドルの差を付けている。これは、日中の経常黒字の差を表している。今後は、さらに日中の差が開いてゆくはずだ。

 


(2)「中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、日本と米国が中心のアジア開発銀行(ADB)に対抗する機関だが、2016年の発足以降の融資は控えめであり、2018年9月までの融資残高は64億ドルにとどまっている。これとは対照的にADBは2018年だけで358億ドルを融資している。2年前に比べると40%増だ。

 

中国が、AIIBを設立したり「一帯一路」計画を発表したのは、2014~15年の経常黒字がピークに達していた頃である。この状態が、恒常的になるものと錯覚した結果だ。その後、経常黒字は減少に転じている。中国国内の貯蓄率低下を反映したものだ。こういう点の予測も満足にできなかった点で、中国の経済運営能力に大きな疑問符がつく。

 

(3)「さらに、『一帯一路』は人民元の国際化を図るという一面を持つが、これまでのところ国際的な融資は圧倒的にドル建てが占めている。実際のところ、日本は自国通貨の海外での利用促進について中国よりうまくやっているように見える。国際取引において円は世界第3位の通貨で、2019年2月の時点での比率は4.35%だった。ドルとユーロには遠く及ばないものの、人民元の1.15%は大幅に上回っている。そして過去数年、人民元の比率はほとんど拡大していない。さらに人民元を使用した国際取引の大半は香港で行われている」

 

中国は、人民元をIMF(国際通貨基金)のSDR(特別引出権)に昇格させたくて、IMFに実現不可能な約束をした。資本自由化と自由変動相場制への移行である。実行する気持ちがなく空手形になったままだ。これが、国際取引における人民元の比率を1%台に釘付けにしている。GDPでは、中国の規模が日本をはるかに上回るが、国際取引では日本の後塵を拝している。

 

この状態は今後、どうなるだろうか。中国経済がジリ貧状態に落込むので、国際取引で日本を上回ることは考えにくい。もっとも、経済政策が市場経済化すれば状況は変るとしても、その可能性はきわめて低いであろう。中国経済は、習近平氏の登場で衰退を早めると見る。