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あと一週間で平成が終わる。「令和」の時代がどうなるか。誰も正確に予測できるはずもないが、平和で穏やかな時代であって欲しいと願うだけだ。経済的には失業率が高くならず、自由に職業が選べる時代が続くこと。これが、国民にとって最高の幸せと言うべきだろう。

 

こういう素朴な願いを否定するような論調が、韓国メディアに登場した。日本の「令和」の和が、「昭和」の和であるから戦争を始めるという、噴き出すような議論だ。日本の人口と財政状態を考えれば、戦争を仕掛ける余力はない。第一、「憲法9条」は永遠に守られるはずだ。

 

『韓国経済新聞』(4月24日付け)は、「幕上がる日本の令和時代」と題するコラムを掲載した。署名はない。

 

 (1)「隣に住む韓国人も首をかしげるほど日本は理解するのが簡単ではない国だ。「王が時間を支配する」という前近代的観念から始まった年号を継続する唯一の国という点からしてそうだ。英語で「emperor(皇帝)」と表記する唯一の対象も日本の天皇だ。こうした姿は徳川幕府が成立した17世紀以来綿々と受け継がれてきた身分社会の伝統を反映している。明治維新直前である江戸時代(1603~1867年)の日本は士農工商だけでなく、支配層である武士階級内でも身分差別が厳格だった。下級武士は道で上級武士に会えば靴を脱ぎ道端に伏して礼を示さなければならなかった。話せない差別を体験した下級武士の身分上昇に対する欲求は『尊皇壌夷』の旗印を掲げた明治維新の重要な動力になった」

このコラムを読んで最初の感想は、日本の歴史に通じていない筆者を想像した。江戸時代は封建時代であり、近代化への揺籃期である。江戸時代の天皇制と幕府の二本立てが基盤になって、明治維新による制度改革が実現した。朝鮮には封建時代がなかった。李朝による専制時代が、日本によって近代化へ導かれた。それが、日韓併合の歴史的な意義である。韓国は嫌でも、この歴史的な事実を認めなければならない。

 

元号は、前近代観念であると冒頭からの日本批判である。これは、古き伝統を守るという日本人の意識を反映している。現実は、元号と西暦が併存している。だから、元号の存在だけで日本を否定しようというのは偏狭すぎる議論だ。

 

元号は、天皇制と結びついている。だが、現在の天皇制は国民統合の象徴である。平和のシンボルだ。こういう意味の元号が、なぜ韓国メディアによって批判されるのか。根拠が余りにも薄弱である。もはや、天皇制は身分社会の象徴ではない。平和と平等の象徴である。

 

 (2)「新しい近代を開くという『維新』と『天皇制』はそれ自体で矛盾的にならざるをえなかった。日本の政治家らは20世紀中盤まで『天皇は現人神(人の姿をして現れた神)』と主張し、こうした時代錯誤は太平洋戦争という惨禍を呼んだ。敗戦した裕仁天皇が1946年1月1日に自身の神格を否定するいわゆる「人間宣言」を発表した後、日本人は自分たちが使っている仮面を認識し始めた」

明治維新において天皇制の果たした一定の役割を理解する必要がある。諸藩がまとまり、「日本」という近代国家を形成する役割を果たしたのだ。当時の世界情勢は、列強の植民地争奪の時代であり、日本もその加害者になったことは認める。ただ、天皇制と植民地を直接結びつける議論は乱暴であろう。昭和史において天皇は戦争抑止に動いているからだ。

 


(3)「 裕仁天皇の後を継いだ明仁天皇は『平和を成し遂げる』という意味の平成を年号に使ったおかげか「近現代史で初めて戦争を経験しなかった時代」を率いた。明仁天皇に続き来月1日に即位する徳仁皇太子は1960年生まれで初の戦後世代だ。低姿勢で人気を得た徳仁時代の年号に安倍首相は『令和』を選択した」

元号には、時代を左右する力はない。このコラムの筆者は、元号の存在を強く批判しながら一転して、元号に時代を左右するような「霊験」を認めている。これは、中国古来の「風水」的な占いの世界である。日本には、風水信者はいない。

 

「平成」という時代が、戦争に巻き込まれなかった。それは、敗戦の教訓(憲法9条)が生き続けている結果である。また、日米安全保障条約によって、尖閣諸島を侵略しようという外部勢力の野望を抑止した面も大きい。

 

 (4)「 令和の「和」が太平洋戦争を起こした裕仁天皇の年号である昭和の『和』のように右傾化の意志を込めているという周辺国の疑いも大きい。ここに息子がいない徳仁皇太子の状況も大きな変数だ。韓国が過去史にしがみつき時間を無駄にするには日本国内の変化がとても急なようだ」

 

このパラグラフになると、韓国の話を始めたと思うほど混乱している。「令和」の和が、「昭和」の和で同じという指摘は、完全に風水=占いの世界である。「和」という言葉が、日本で大事にされるのは、聖徳太子の憲法17条の第1条に出てくる「和を以て貴しと為す」の意味である。民主主義の原点に通じる言葉である。

 

昭和20年の敗戦後は、戦争と無縁である。韓国メディアは、日本の歴史を深く知ろうとせず、韓国に都合のいいところだけつまみ食いした日本批判に終わっている。日本の近代史を知れば、韓国の弱点が分るはずだ。韓国にノーベル科学賞受賞賞が一人もいない背景は、物事を合理的に究明せず、このコラムのような噂話で時間を費やしている結果であろう。