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中国政府は、きょう(25日)から3日間の日程で、第2回「一帯一路フォーラム」を開く。フォーラムには40カ国近い国のトップが参加し、習国家主席との円卓会議に臨むという。2年前の第1回フォーラムでは、共同発表文をめぐり、英・独・仏などEU諸国と意見が衝突して、署名もせず帰国する事態を招いた。中国が自説を主張して譲らなかった結果だ。

 

今回のフォーラムでは、前回の失敗に懲りて低姿勢に出るという。習近平氏は、「一帯一路」構想が中国の独善的な推進姿勢によって、国際的な批判を集めているので、対外姿勢や管理運営方法について柔軟な姿勢を示す方針だ。

 

第2回一帯一路フォーラム開催前に、中国の当局者や学者は、他の国や多国間でまた、資金を供給する機関も、今こそ一帯一路に参加して資金を供給すべきだと主張したという。これは、中国の対外投資資金のゆとりがなくなってきたことの証明である。私はこれまで、中国の経常赤字問題が今年から現実化する事実を強調してきた。中国の「弱気発言」は、これを立証したものだ。中国経済は「ウドの大木」であり、すでに最盛期期を過ぎている。辛うじて「大言壮語」でその弱点をカムフラージュしているだけなのだ。

 

英誌『エコノミスト』(4月20日号)は、「欧米の対中政策、今は団結モード」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国の西側社会に対するメッセージは、次の3段構えからなるとされてきた。(1)中国の台頭は避けられない (2)中国に協力する国は多大な恩恵を受けられる (3)従って抵抗しても無駄だ、と。ここへ来て中国に協力すればそれだけの見返りがあり、従って中国に抵抗することは無駄だという点について疑問視する向きが強まっている」

 

中国が、外貨準備高3兆ドルを維持しているのは、他国への「見せ金」に過ぎない。この「金力」を武器にして前記3段階メッセージの、(3)中国へ抵抗しても無駄という「成果」を得てきた。だが、「金力」の源泉である経常黒字が消えて、今年から恒常的な赤字国へ転落する。この期に及んで、(2)中国に協力する国は多大な恩恵を受けられる、という殺し文句が使えないのだ。もはや、中国に潤沢な貸付け資金があるはずもない

 

(2)「中国が中東欧16カ国と開く定例の首脳会議『16プラス1』に、ギリシャが412日、参加を表明したことは中国の勝利を示したかのようにみえた。これは中国が2012年に中東欧諸国との協力を深めるため発足させた枠組みである。ギリシャが資金力の豊富な友好国である中国を喜ばせようとしたのは確かだが、政治的には旬を過ぎたグループに加わったといえるかもしれない。というのも今や『17プラス1』になったこの枠組みの最大の参加国ポーランドを含む各国は、中国から期待したほどの商機や投資を実現できないこの枠組みに次第にうんざりし、不満を高めている、と西側の外交官らはみているからだ」

 

中国が、中東欧16カ国と開く定例の首脳会議は、中国から期待したほどの商機や投資を実現できず、この枠組みに次第にうんざりして不満を高めているという。「金の切れ目は縁の切れ目」である。これから、経常赤字国になる中国に投資余力などあるはずもない。この程度のことが、なぜ分らなかったのか。外交官の経済分析センスは、意外に低レベルなのだろうか。ましてや、イタリアが新規に一帯一路で覚書を交わしている。空手形になるのは明白だ。

 

私は、一帯一路は空中分解すると言い続けてきた。勧進元の中国経済がふらついている以上、避けられない結末である。中国が、頻りに日本に対して「ニーハオ」と言ってくるのは、「カネ目当て」である。経常赤字国になる中国が、経常黒字国の日本の存在がまばゆく見えるのは当たり前だ。膨大な軍事費を背負い込んでいる中国が、他国へ融資するゆとりなどあるはずがない。軍拡もいずれ自動ブレーキがかかって縮小するであろう。

 

(3)「中国への認識を改める傾向は、ドイツのような国にまで広がっていると外交官らは指摘する。ドイツと中国は互いを必要としているとはいえ、ドイツは信頼の高い様々なブランドや誰もがうらやむ技術を抱えていることから、対中国では優位な立場を築けていると考えられてきた。だが、その独有数の大企業でさえ、中国政府の支援を背景に独企業を打ち負かして取って代わろうとする中国企業との競争に巻き込まれ、最近は中国との関係への認識を改めつつあるという。フランスと英国も中国との関係を現実的に考えるようになってきた

 

中東欧16カ国は、中国の資金に魅力を感じて中国の回りに集まったが、そのメリットを感じなくなり不平不満を持つようになった。一方、英・独・仏という主要国も中国政府の補助金政策に警戒して距離を置くようになっている。こうなると、EUに基盤を築こうとした中国の戦略は大きく揺らぐ。中国の実績のない「演技」は、こういう形で突然、幕を引くのだろう。