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文在寅(ムン・ジェイン)大統領が5月1日、即位した徳仁天皇に祝電を送り、退位した明仁天皇にも謝意を込めた書簡を送った。日韓関係は最悪事態だが、こういう祝賀の辞を送るのは儀礼という外交慣例に基づくものだ。

 

韓国大統領府では当初、日本へ祝辞を送ることに否定的であったという事実が判明した。韓国大統領府では、事実上「日韓断交」の心構えであることを窺わせている。日中関係が最悪であった2012年、習近平氏の国家主席就任の際、日本は祝辞を送っている。中国の扱いはきわめて非礼で、祝電を送った国家一覧から日本名を削除するという侮辱的な行為をした。

 

韓国大統領府は、逆の立場だが日本を無視して、祝辞を送らない方針であったという。

 

『中央日報』(5月6日付け)は、「文政権、韓日関係破綻すれば李明博元大統領のせいにするのか」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の李夏慶(イ・ハギョン)主筆である。

 

(1)「友好国の新旧国王に祝電と書簡を送るのは基本的な礼儀だ。ところが、(今回の日本での天皇交代に対しては)すんなりと出てきた決定ではなかった。外交部の建議を受けた青瓦台(チョンワデ、大統領府)は決定できずにいた。慰安婦合意不履行や徴用工賠償判決など過去の問題で最悪の状況を迎えている韓日関係を表す場面だ。この時、共に民主党の重鎮、金振杓(キム・ジンピョ)議員が動いた。盧英敏(ノ・ヨンミン)秘書室長、鄭義溶(チョン・ウィヨン)安保室長、姜キ正(カン・キジョン)政務首席秘書官を説得し、大統領の決心を引き出した」

この裏事情を聞かされただけで、韓国大統領府の日本に対する姿勢は、すでに「断交」も同然の事態にある。日本とより良い関係を築こうという意思がゼロである以上、日本側の譲歩は一切必要ない。あくまでも「他人行儀」で当るべきである。そうなった場合、困るのは韓国である。一度、韓国を厳しい局面に追い込み、目を覚めさせる必要がある。そうでなければ、日韓の不条理な事態は今後とも引き起こされるに違いない。再発防止のためにも厳然と対応すべきだ。

  

韓国大統領府が、このような非友好的な姿勢であるのは、「86世代」という学生運動家上がりで筋金入りの「親中朝・反日米」派であるからだ。30年以上も昔の学生運度意識から抜け出せない「輩」に、日韓関係の基本を説明するのも無駄であろう。

 


(2) 「昨年10月の韓国最高裁の賠償判決で力を得た強制徴用被害者は令和時代が開かれた初日の5月1日、日本戦犯企業の国内資産の現金化手続きに着手した。日本はすでに現金化に対する全方向からの報復を予告した状態だった。こうした状況で、韓国大統領が日本国民に絶対的な存在である天皇に祝電を送らなければどうなっていただろうか。日本としては祝うべき日に屈辱を受けたと見なしたはずだ。 文大統領の祝電と書簡は安倍晋三首相にも事前に伝えられた。金議員は別の重鎮議員と日本に訪問し、安倍首相の最側近議員らと両国関係回復に向けた議論をする予定だ」

(3)「金議員は経済副首相と教育副首相を務め、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、文在寅両大統領の政権移行チームの実質的な主役だった。民主党の主流の親盧・親文や586運動圏とは違う。保守的な見方が党のアイデンティティーと合わないと攻撃を受け、代表選挙でも敗れた。しかし力を発揮しながら文政権に不足する現実感覚と経済、外交・安全保障の実質的解決法を提示してきた」

渋る韓国大統領府を説得した金議員は、経済副首相を務めた経験もある経済派である。「86世代」とは肌合いが異なるという。この金議員が、橋渡し役になって訪日するという。妥協案を持ってくるのか。それは、不明である。