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「論より証拠」とか、「百聞は一見にしかず」とか言われる。自分の目と手で確かめた認識が一番、確かなものだろう。

 

長かった10日間の連休が終わった。皆さん、旅先での楽しかった思い出を胸に、通勤電車に揺られていることだろう。カバンには、小さなお土産を用意して、職場の同僚に楽しかった話のお裾分けである。

 

中国からの旅行者も、日本でさわやかな経験をされたという。この方も帰国して日本の良かった点を沢山披露してくれるに違いない。内外で楽しい旅行の思い出で盛り上がっていると思うと、こちらまで楽しくなる。

 

『サーチナ』(5月6日付け)は、「日本に行ったら幼い頃の悪い日本イメージ崩れたどころか心まで動かされた」と題する記事を掲載した。

 

中国メディア『東方網』(5月2日付け)は、日本旅行に来てみたら、小さい頃に植え付けられた日本に対する嫌悪感が増幅するどころか、かえって気遣いの細やかさに心を動かされて帰ってきたとする記事を掲載した。

(1)「記事は、『小さい頃、自分の世界では日本は悪い民族だった。日本が嫌いだったし、日本人も自分たちのことが嫌いだろうと思っていた。一番嫌いで一番行きたくない国が日本だった。“日本人はいいぞ”などという子どもがいようものなら、みんなから“逆賊”と批判された。これが幼い記憶の中の日本だ』と紹介した」

現在、中国からの観光客が年間838万人(2018年)と首位である。これだけの人たちが、1人最低20人に日本の印象を話して貰えれば、ざっと1億7000万人が土産話を聞く計算だ。中国人口の1割以上に達する大変なPR効果がある。口コミ効果は抜群だ。


(2)「そして、『幼い記憶の中の日本』を裏付けるべく日本を訪れてみたところ『私は、日本に完全に失望させられた。ちっとも嫌悪感を抱かせることもなければ、むしろ私の心を動かしてしまったではないか。この“心を動かされた”という感覚は、日本に行ったことがない人には得られないものだろう』と、いい意味で裏切られたことを伝えている」

日中戦争の経験談も「日本人怖し」というイメージをつくっている。これは、事実だから謝罪するしか方法がない。



(3)「特に、象徴的だったエピソードとして、コンビニでお金を支払うシーンを挙げ、『まず、店員が親切にレジに表示された合計金額が2150円だったことを示してくれた。私が財布から1000円札3枚を無造作にテーブルの上に置くと、店員はそれを直ちにレジにしまうことなく、テーブル上の小さなトレーに入れたうえでレジを打ち、お釣りの850円をにこやかに両手でくれたのだ。そして、私がお釣りの金額に間違いないことを確認し終わると、店員はようやく3000円をレジにしまったのである』と説明した」

コンビニの経験は、この通りである。接客のマニュアルがあるに違いない。日本人でも心温まるものがある。マナーの大切さを認識するのだ。


(4)「このエピソードの中で、『心を動かされた』点について記事は、客がトレーにお金を出す間、客が『これでいい』という意思を示すまで店員はそのお金に全く触れようとしなかったこと、ちゃんと両手で商品やお釣りを渡し、笑顔で客で送り出すこと、客がどんな態度であろうとも、お会計の金額など店員として客にはっきり伝えるべきことを疎かにしない職業上の素養を挙げている」

ショッピングにとっては、対面の重要さがよく分かる。無人店舗も意義はあるとしても、人と人が手から手へと渡す光景もいい。ネット決済にはない「ホッ」とさせられる部分であろう。日本人の暖かみを感じるのは、こういう支払時の対応も大きな役割をしていると思う。