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本欄で、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に触れました。読者コメントで、元・東京都知事の美濃部亮吉と行政スタイルが似ているという指摘をいただきました。そこで、文氏と美濃部の比較論をしてみます。結論は、この二人は良く似ており、「空理空論」を好むタイプのようです。

 

先ず、美濃部亮吉について説明しておきます。

 

東京教育大学(現・筑波大学)教授を経て、1967年4月社会,共産両党推薦で東京都知事に初当選,71年再選。75年3選。初の革新都知事として,福祉重点の施策を行い,「対話の都政」を標榜しました。「都民との対話」を看板に掲げたので、「一人でも反対者がいれば、橋を架けない」と明言。これが、交通渋滞と大気汚染をもたらしました。

 

確かに、文大統領は美濃部と良く似ていることに気付きます。以下に、その共通点を挙げます。

 

    美濃部はマルキスト:文は「チュチェ思想」の信奉者

    美濃部は「美濃部スマイル」:文は愛想が良く、腰が低い

    美濃部は北朝鮮絶賛:文は南北交流促進

    美濃部は民意尊重:文は大衆迎合

    美濃部は財政放漫:文は財政依存の経済運営

    美濃部はマスコミ支援:文はTV・放送を労組により管理

 


美濃部は、東京都知事を3期12年務めました。「美濃部スマイル」と言われるように、ソフトな語り口といつも笑みを絶やしませんでした。その上、マスコミの支援を受け都知事選では、政権党である自民党候補者を寄せ付けない強さがありました。

 

この結果、東京都はハッピーだったかと言われれば、大きな問題を抱えました。近代都市として備えるべきインフラが決定的に不足したのです。一方では、福祉に傾斜し過ぎて放漫財政に陥入りました。学者出身で財政バランスを取る行政能力が不足していたのです。

 

文大統領は、美濃部の行政スタイルときわめて似通っています。このことから、美濃部都政の行き詰まりが、文大統領の「末路」を想像させます。

 

文氏は、経済運営が不得意であることから、経済成長という政治の原点を放棄しています。その穴を北朝鮮への傾斜でカバーする方針ですが、北のミサイルによる脅迫で明らかなように、北は韓国を従属させる牙を見せつけています。これは、文氏の想定外の事態でしょう。文氏の本質は「教育者」であり、美濃部と同様に相手を疑ってかかる政治性に欠けます。文氏が、大統領職で成功できない要因は、この点にあると見るのです。いかがでしょうか。