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文在寅(ムン・ジェイン)政権にとって、はなはだ都合の悪い世論調査結果が出てきた。「経済問題か、南北統一か、一つだけ選択するとすればどちらか」という政府の世論調査で、経済問題の解決が7割に達した。文政権による経済失政状態で、南北統一問題を持出しても、国民は「ノー」という返事を突付けた形だ。

 

政治の原点は、経済問題の解決にある。そのメドが付いた状態で、次のステップに進む余裕が生まれるもの。文政権は、この順序を間違えている。韓国経済は、一段と混迷する中で「南北統一論」を叫んでも、国民は無関心にならざるを得ない。文政権の支持基盤である労組と市民団体は、韓国では「富裕階層」である。彼らの関心と国民一般のそれは異なっている。政府の世論調査結果は、皮肉にも文政権との認識ギャップを浮き彫りにした。

 

『朝鮮日報』(5月14日付け)は、「韓国民『統一より経済問題の解決を優先』70.5%」と題する記事を掲載した。

 

「統一問題」と「経済問題」のうち一つを選んで解決しなければならないとしたら、経済を選びたいという回答が70%を超えることが判明した。韓国政府の首相室の傘下にある統一研究院は、先月5日から25日にかけて、韓国リサーチに依頼して韓国国内の満19歳以上の成人男女1009人を対象に対面面接方式で「統一意識調査2019」を行ったもの。

 

(1)「調査結果によると、経済が優先だという回答は70.5%で、統一(8.3%)より圧倒的に多かった。また『韓国が当面は損をするとしても、北朝鮮が現在の経済的難局を克服できるよう助けてやるべきか』という問いでは、回答者の60%が否定的な回答を行った」

 

文政権の思惑を完全に否定する回答結果である。経済優先が70.5%、統一優先は8.3%という結果は、ごく常識的ものだろう。自分の生活も覚束ない中で、親戚の生活まで考えているゆとりなどあるはずがない。卑近な例で言えば、「祖父は兄弟でも孫の代になれば隙間風が吹く」という話だ。文在寅氏は、第二世代である。現在は、第三世代から第四世代へシフトしている。南北意識は変わって当然である。

 


(2)「統一研究院側は、『統一は、大部分の韓国人にとって、もはや全てを犠牲にしてでも実現させるべき絶対的目標ではない。個々人に向けて統一がなぜ重要なのかを説得する、新たな論理が必要だということを意味する』とした。『南北が一つの民族だからといって、必ずしも一つの国家をつくる必要はない』という意見には41.4%が同意し、26.7%が同意しなかった。一民族という理由で統一すべきだという過去の統一論が大きな説得力を持たなくなり、とりわけ、若い世代であればあるほどそうした傾向がある-と同研究院は説明した」

 

先に示した私の「世代論」によれば、ごく自然な結果であろう。南北は同じルーツ(祖先)でも、普段の交流があるわけでない。ましてや、政治体制も異なる以上、世代が進めば進むほど「親戚意識」が薄くなるはずだ。こういうことは、日常でも経験済みである。

 

(3)「一方、『北朝鮮は核兵器開発を放棄しないだろう』という回答は72.4%で、南北・米朝間の対話が始まる前の昨年(72.8%)と同様の数字だった。『国際協調を通して北朝鮮に対する制裁を確実に履行すべき』という回答は65.5%と、高い数字が出た。研究院は『北朝鮮非核化に対する韓国国民の強い懐疑的認識と関連したもの』と評価した。『統一がなされた後も在韓米軍は韓半島(朝鮮半島)に駐屯すべき』には、賛成が40%、反対が22%だった」

 

このパラグラフの回答は、文氏にとって衝撃的であったはずだ。文氏は大真面目で北朝鮮の核放棄を信じて行動しているが、無駄な結果に終わるという示唆だ。国民の判断が、文氏の素朴な北への信頼感を上回っているようだ。