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けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

 

ウォンは通貨のカナリヤ

1200ウォン割れ危機

ムーディーズ4つの質問

日本へ接近する狙いとは

 

 

韓国経済は、厳しい局面へ向かっています。対ドルのウォン相場が急落しているからです。為替相場は国力のバロメーターです。ウォン安は、韓国の国力が低下していることを表しているのです。韓国は、過去2回も通貨危機に見舞われています。対GDPの輸出依存度の高いことが、世界経済の影響を敏感に受ける体質を形成しました。現在の輸出依存度は、約40%になっています。

 

ウォンは通貨のカナリヤ

韓国経済は、米中貿易戦争の影響を強く受けます。韓国輸出の約4分の1が対中輸出です。さらに、全輸出の5分の1は、半導体が占めています。実は、この中国と半導体が、いずれも不振であるという事態に追い込まれています。こういう韓国の輸出構造から見て、ウォン相場は、アジア通貨では「カナリヤ」と見られています。

 

カナリヤは昔、坑道に入って作業する鉱夫の安全管理のために利用されてきました.坑内に有毒ガスが発生した場合、カナリヤが最初に反応するという特性を利用したものです。この伝で言えば、韓国ウォン相場の急落はアジア通貨異変の兆候と見られています。韓国にとってはなはだ迷惑な話ですが、貿易構造がそうなっている結果です。韓国人特有の「ひがみ根性」から言えば、承服できない話でしょう。

 

韓国は、これから世界三大格付け会社が、相次いで格付け作業に入ります。すでに,S&Pの審査は終わりました。結果は発表になっていませんが、「条件」が付くという予測がされています。つまり、半年後の「見直し」条件です。もし、格付けで引下げられることがあれば、文在寅政権のメンツは丸潰れになります。

 

これまで、「マクロ経済は相対的に良好である。間もなくその成果が国民に届く」と確言してきました。それが、格付け会社の総合判断によって覆されれば、文政権は責任問題に発展します。来年4月は、国会議員の総選挙です。格付け会社によって、経済実態が不調であると判断されれば、総選挙の結果に響いて来ます。与党の「共に民主党」が敗れれば、次期大統領選にも響きます。

 

このように、韓国は経済次第で政治状況が変わるので、ウォン相場の推移に注目が集まります。与野党が、逆転する事態も起こりかねません。

 

以上で、概略の説明を終えて具体的に韓国経済の問題点を探って行きます。

 

1200ウォン割れ危機

対ドルのウォン相場が、一気に10ウォン以上も下落し、1190ウォンまで迫っています。5月15日の終値は、1188.6ウォンで前日比0.8ウォン高となりました。1200ウォンが「マジノ線」と意識されています。理由は、このラインを割って下げ続けると、ウォン投機売りを誘い込み一気に危機ラインの1400ウォンへ持って行かれるリスクを抱えているからです。過去2回、韓国は通貨危機に陥っており、塗炭の苦しみを味わいました。耐乏生活を強いられたからです。

 

ウォン相場と関係の深い輸出は、昨年12月から前年同月比マイナスを続けています。5月に入ってもこのマイナス基調が続いています。これで、6ヶ月連続で前年比マイナスとなります。マイナス要因は、先に指摘しました対中国輸出と半導体輸出が振るわなかったことです。この2要因は今後どうなるでしょうか。

 

対中国と半導体は、米中貿易戦争と密接に絡んでいます。中国が米国へ輸出する多くの工業製品に韓国製半導体が組み込まれています。こうなると、米中貿易戦争が解決しないかぎり、韓国の輸出に展望が開けません。米中貿易戦争が始まった時点で、韓国は台湾などと並んで強い影響を受けると指摘されてきました。それが、いよいよ現実化してきます。

 

韓国政府は、これへの備えを全くしていません。輸出に期待できなければ、内需を補強する手段を取りませんでした。逆に、最低賃金の大幅引上げで失業者を増やす最悪事態を招いています。(つづく)