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米国トランプ大統領が、次々に繰り出す新手に中国は攪乱されている。米中経済の基盤を見れば、天と地もの開きがある。トランプ氏は余裕を持って中国を攻めている。中国は手持ちの米国債売却をちらつかせて、米国の攻めを防ごうとしているが米から一蹴されている。

 

金融面では、米国の力量は圧倒的である。中国が米国債売却話を持出しても鼻の先で笑われている。それどころか、関税戦争で中国の輸出減が鮮明になっており、貿易黒字の大幅減少は不可避となってきた。貿易黒字の減少が、人民元安に結びつくと外貨準備高の取り崩しが始まる。中国は、防戦一方だ。こんな割のあわない関税戦争をしても得るところは何もない。早く止めるべきだ。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(5月15日付け)は、「米国の関税、人民元に打撃、中国は資本流出を懸念」と題する記事を掲載した。

 

(1)「米中の貿易摩擦の激化が人民元に打撃を与えている。人民元を通商政策の武器に使おうとする中国の目論見に対する疑問も再燃している。オフショア市場の人民元は今週、米国との関係悪化を背景に1ドル=6.9元を割り込み、昨年12月下旬の水準まで下落した。14日時点では1ドル=6.89元近辺で取引されている。人民元の急落で中国政府は難しい立場に置かれている。中国製品は米国市場で割安になり、米政府による関税引き上げの影響をある程度相殺することになる。一方で、中国政府は人民元下落に対する懸念が資本流出やさらなる通貨安を招く事態を回避したい考えだ。そうした動きが生じる分岐点は1ドル=7元とみられている」

 

中国は、1ドル=7元が資本流出や通貨安を防ぐ「マジノ線」としている。後退しても、この「7元」を絶対防衛圏として守りたいという。

 

(2)「ドイツ銀行アナリストの試算によると、米国が中国製品2000億ドル相当への関税を25%に引き上げた措置の効果を打ち消すには、人民元は1ドル=7元よりも若干安い水準まで下落する必要がある。ただ、ドナルド・トランプ米大統領はさらに3250億ドル相当の品目にも関税を課す意向を明らかにしている。トランプ氏は以前から中国による為替操作を非難しており、人民元が大幅安になれば米国との摩擦がさらなる火種となる可能性がある。ING(香港)の大中華圏担当エコノミスト、アイリス・パン氏は、中国政府は関税の影響を緩和するためよりも、交渉戦術として人民元のある程度の下落を許容する心づもりだと指摘。ただ、資本流出のリスクを最小限に抑えるため、変動が大きくなりすぎないように注意するだろうと述べた。パン氏は『貿易戦争によって人民元は現在、経済的なツールではなく、政治的なツールになっている』としている」

 

中国が、トランプ氏の「2000億ドル25%関税」をクリアするには、1ドル=7元を若干下回る程度まで人民元相場が軟化する必要があるようだ。だが、その7元を若干下回る相場レベルで止まってくれる保証はない。国際投機筋が手ぐすね引いて人民元売りを仕掛けたい所だけに綱渡りになろう。

 

習氏が、世界覇権云々と取らぬ狸の皮算用をしたばかりに、これだけの苦悩を背負わされて、国力を疲弊して行くのだ。統制経済が、市場経済に攻め立てられる歴史的な攻防がこれから始まるのだ。