a0960_005041_m
   


韓国は、「負け戦」と覚悟していたWTO(世界貿易機関)上級審の「福島産海産物輸入規制」で一転、勝利に輝いた。あのとき、韓国の喜びようは尋常なものでなかった。余勢を駆って、徴用工問題でも国際司法裁判所で勝てると、方向違いの論評をする韓国の大学教授まで現れるほどだった。

 

そのWTO上級審判断は、不当であるとの見解が4月のWTO「紛争解決機関(DSB)」会合で10ヶ国・国際機関から表明された。6月、日本で開催されるG20で議論される見通しとなった。

 

『産経新聞』(5月16日付け)は、「WTO上級委判断は「遺憾」「制度に欠陥」、10以上の国や機関が日本を支持」と題する記事を掲載した。

 

(1)「韓国による福島など8県産水産物の輸入禁止措置を事実上認めた世界貿易機関(WTO)上級委員会の判断を問題視する日本に対し、4月の紛争解決機関(DSB)会合で理解や支持を表明した国々の主な発言内容が15日、判明した。発言した国の大半にあたる10以上の国や機関が日本側に理解を示し、米国は上級委の判断を『遺憾』とし、欧州連合(EU)は現行の紛争解決制度は『内在する欠点がある』と断じた。政府関係者が明らかにした」

WTO上級委員会が、韓国寄りの判断を下した背景には、韓国市民団体の強烈な反対運動に怯えて、「事なかれ主義」に陥って逃げたと思う。韓国市民団体の食品に対する狂気じみた反対運動は、米国狂牛病の際に演じられている。この狂気が、静かなスイスのジュネーブに持ち込まれたら大変、と予防策に出た事情も分らないではない。私は、最初からこういう見方である。

 


(2)「WTOの紛争解決手続きの『最終審』に当たる上級委は4月11日に公表した報告書で、韓国の禁輸措置はWTO協定違反とした『1審』の紛争処理小委員会(パネル)の判断を、分析不十分として取り消した。他方、韓国の措置がWTO協定違反かどうかについては判断しなかった。このため、(日本)政府は4月26日のDSB会合で、上級委の判断について『科学的根拠から導かれたパネルの判断を軽視した。紛争解決に資するものとなっていない』と批判した。

 

WTO上級審は、韓国の市民団体が怖くて正当な判断を避けた。そう思わざるを得ないほど、不当な判断である。韓国は、負けるものと思い込み、必要な資料も出さないほど非協力な態度であった。その捨てた試合で勝てたのだから狂喜乱舞は当然だ。文大統領は、「この勝利の過程を記録に残し、次なる問題に備えたい」とまで発言した。日本と国際司法裁判所で対峙するポーズを見せたのだ。だが、WTOの上級委員会は機能していなかったという話になると、韓国はまさに糠喜びとなる。

 

(3)「同日の会合では、カナダが、韓国の禁輸措置とWTO協定の整合性を『(上級委が)何ら判断しなかった』と指摘し、『満足すべき解決が得られなかったのは遺憾だ』と語った。サウジアラビアは、同国が日本に派遣した専門家による調査を踏まえて輸入規制を解除したことに触れ『日本産食品は安全だ』と訴えた。ブラジル、ペルーも日本の立場に理解を示した。韓国の主張を明示的に支持した国はなかったという。DSB会合での発言は国名も含め非公表が原則だが、これらの国々は、発言内容や国名の公表を承諾した。(日本)政府は6月の20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)などで、紛争解決制度を含むWTO改革に向け国際協調を強める考えだ」。

 

紛争解決機関(DSB)会合では、発言の国名は非公表が原則である。今回は、国名を発表して良いという了解を得ているほど、「韓国勝訴」は不当な結論であった。G20では、WTO上級委員会のあり方が議論される気運である。韓国は、いつの間にか「勝者」から「敗者」になりかねいな。それだけに、これから落ち着かない日々が続くだろう。