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中国の習近平国家主席が15日、怪気炎を上げたそうです。

 

北京で開かれるアジア文明対話大会の開幕式で、他国の改革を目指す外国の試みは「愚か」だと非難したのです。その通りです。他国のことに口出しすることは、内政干渉になります。

 

習氏は、具体的に「自身の民族と文明が他よりも優れていると考えることや、他の文明を作り変えたり、別のものにしようと主張することは理解力という点で愚かであり、実際問題としては大失敗に終わるだろう」と語ったそうです。ここまでの話を聞くと、習氏が米国を念頭に話していることが分ります。

 

「蟹は甲羅に似せて穴を掘る」と言われます。それぞれ分相応のことを行なうという意味ですが、この言葉を尺度にして中国の経済や政治行動を見ますと、「自身の民族と文明が他よりも優れている」兆候が濃厚であることに気付きます。つまり、習氏は、言っていることと行なっていることが矛楯しているのです。

 

中国が自国より強い相手には、「民族の自主性」を強調する一方、弱い相手には「自国文化や制度を強制する」というダブルスタンダードを行なっていることを否定できません。前記発言は、強い相手の米国むけでしょう。

 

中国は現在、世界中に「孔子学院」なる文化施設をつくっています。表向きは中国語と中国文化の普及のようです。実際は、スパイ活動や相手国文化に働きかけて、「中国化」を目指す活動と分析されています。これは、中国のダブルスタンダードの象徴的な姿です。

 


前記のように、中国は忠実に「蟹は甲羅に似せて穴を掘る」行動を行なっています。中国の原点は、黄河の中原に源を発する「漢族」です。その漢族が、他民族を支配・占領して現在の広大な版図をつくりあげました。つまり、漢族は中華帝国のDNAそのものです。

 

ローマ帝国の原型は中華帝国です。現代中国は、まさに世界帝国のモデル国の末裔と言えます。その習近平氏が、「自身の民族と文明が他よりも優れていると考える」のは紛れもなく事実です。現在は、米国という資本主義の巨人がデンと構えており、習近平氏の描く「世界覇権道」の前に立ちはだかっています。

 

米中貿易戦争の真相は、米中の世界覇権をめぐるバトルでしょう。だが、中国の世界覇権論は首尾良く成功するでしょうか。中国は、専制国家から一足飛びに自称「社会主義国」へ変わりました。歴史の流れから見て、そんな三段飛びの発展はあるでしょうか。私には大いなる疑問点です。

 

世界史の動きは、専制主義→封建主義→資本主義→?となっています。

 

中国は、封建主義と資本主義という重要な段階をすっ飛ばして、「社会主義国家」と称しています。現実は、国民に選挙権を与えない、言論の自由は認めないなど、法治国家ではありません。中身は、専制主義でしょう。毛沢東は、共産中国の根本的な弱点が、資本主義を経験していない点にあると指摘しています。私もその通りだと思うのです。皆さんは、いかがでしょうか。