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文在寅(ムン・ジェイン)大統領の性格は、生真面目と言われている。一度、信じ込んだらテコでも動かないという頑迷さがある。これは、大統領就任2年間の言動によって内外に知れ渡った。宗教家には向くこの性格も、政治家という柔軟な対応を求められるポジションでは、国民を不幸に巻き込む大変に困った事態になっている。

 

文氏は、ことあるごとに韓国経済の基盤はしっかりしていると言い続けている。個々の点で問題があれば、財政支出を拡大して解決できるほどの能力を持っている。だから、国民は心配せずに、最低賃金の引上げによって所得格差を縮小する文政権を信頼してくれ。こう繰り返している。

 

この発言を吟味すると、財政拡大で穴埋めするという宣言である。この調子で、来年4月の総選挙まで財政によって食いつなぎ、与党の勝利を手にする。そして、次期大統領選では与党候補に勝たせて、政権を継続させる。こういう基本方程式ができあがっているようだ。

 

残念ながら、ここには国民が不在である。文大統領は、景気がいくら悪くなっても「悪い」と絶対に認めない。ただひたすら、与党を選挙(総選挙と大統領選挙)で勝たせることに力点がおかれている。まさに、「与党栄えて、国民滅びる」という構図が描かれている。この戦略は成功するだろうか。国民を欺くことに成功するだろうか。

 

国内の経済専門機関は、相次いで警戒信号を打ち出した。当然のことだ。

 

『中央日報』(5月14日付け)は、「韓国景気診断、わずか1カ月で『徐々に不振』から『不振』へ」と題する記事を掲載した。

 

(1)「国策研究機関の韓国開発研究院(KDI)が韓国経済に対する懸念を強めている。KDIは13日、『経済動向5月号』で『最近の韓国経済は需要委縮が一部緩和されたが、投資と輸出を中心に景気が不振』と明らかにした。4月号で『最近、韓国経済は対内外需要が委縮し、景気が徐々に不振になっていると判断している』としていたが、今回は『不振』に軸を移したのだ。昨年10月に『停滞』という言葉を使用したKDIは11月に『やや鈍化』、12月に『漸進的鈍化』、今年1月に『鈍化傾向』と表現を強めている」

 

時系列を追って、KDIが韓国経済に対する評価をいかに変えて来たかを再認識したい。

 

昨年10月に「停滞」

昨年11月に「やや鈍化」、

昨年12月に「漸進的鈍化」

今年1月に「鈍化傾向」

今年4月に「徐々に不振」

今年5月に「不振」

 

昨年10月から取り上げられているのは、韓国統計庁のルールで、景気動向指数の一致指数が「連続6ヶ月前年比でマイナスになれば『不況入り』と決めているからだ。この点について、私も本欄で不況入りを強く指摘してきた。現状の景気判断は、「不振」となっている。すなわちようやく「不況」の確認をしたことを意味する。

 

  韓国政府企画財政部は17日、「最近の経済動向」(別名グリーンブック)5月号で、「不振」と認定した。KDIと完全に一致する認識だ(『中央日報』5月17日付け)

 

企画財政部の景気判断は、グリーンブックにおいて次のように変化してきた。

 

昨年9月までグリーンブックは、経済が「回復傾向」と診断。

昨年10月から「不確実性」により重点を置いた。

今年3月は「不確実性」に言及しつつも「肯定的モメンタム」を掲げた。

4月からは否定的診断結果を「不振」に変更。

KDIと企画財政部は、ほぼ同じ景気認識で推移してきたことが分かる。この現状認識に基づき、政府は2度に渡る補正予算編成に追い込まれた。こういう危機意識が政府から一切、外部へ発表されずこっそりと補正予算編成が行なわれた。この点に文政権の隠蔽体質が表れている。文大統領の「進軍ラップ」は、さらに事態を隠蔽して国民を欺くものだ。その目的は冒頭で指摘したように、「選挙に勝つため」だけだ。こういう政権が、進歩派を堂々と名乗っている。保守派よりも悪質と言える。