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米商務省は16日、ファーウェイと関連会社68社について、米政府の許可なく米企業から部品などを購入することを禁止する「エンティティリスト」への正式な追加を発表した。これは、米国が放った「中国戦略」の核爆弾に匹敵する。米国をここまで怒らせた中国の対応のまずさが浮き彫りになっている。

 

中国が、米中貿易戦争の原因をつくった。GDP世界2位という奢りが招いたとも言える。日本は,無謀な太平洋戦争を仕掛けたと同じ短慮が、中国を傲慢にさせたのだ。太平洋戦争直前、日本はABCDラインによって石油や鉄鋼など戦略物資の禁輸措置を受けた。理由をつくったのは日本。満州からの撤兵をせず、日本領と主張した結果である。この時の主役は、米国である。米国には、中国を追い詰めるノーハウを山ほど持っているはずだ。

 

中国は、脆弱な国内事情を抱えながら、対外強硬策を進めてきた。その最終コースに米国の大ナタが振るわれたと見るべきである。基礎技術のない国家が、世界覇権などという、とてつもない野望を持った。それに下された鉄槌と見るべきだろう。

 

『ロイター』(5月16日付け)は、「米国のファーウェイ排除、世界IT供給網に混乱必至」と題する記事を掲載した。

 

(1)「ファーウェイより経営規模の小さい同業の中興通訊(ZTE)は昨年、一時的に米政府の制裁対象となり、経営危機に陥った。規制リストへの追加でファーウェイも経営が悪化するとみられるが、影響は同社だけにとどまらず、米国のサプライヤーも打撃を被りそうだとアナリストはみている。ファーウェイの昨年の部品調達700億ドル分のうち、クアルコムやインテル、マイクロン・テクノロジーなど米企業が110億ドル前後を占めた。ファーウェイへの規制強化で米企業はこの売り上げを失う。一方、アップルなど米国の製品メーカーは、主要な市場である中国から手痛い報復措置を食らう恐れがある

 

下線を引いた部分は、非関税障壁といわれる部分である。米中協議でこの撤廃が要求されているから、中国が無思慮に復活させたら米国から大目玉を食らうこと必至だ。

 


(2)「ファーウェイはサプライヤーを米国企業から中国企業に切り替えるのが難しく、少なくとも数年以内の移行は無理なため、厳しい事態に直面するという。
ファーウェイが生産を抑制せざるを得なくなれば、アジアと欧州で多くのサプライヤーの経営が影響を被る。また、各国が次世代通信規格「5G」のネットワーク構築にしのぎを削っているだけに、ファーウェイの製品に依存し、米国によるファーウェイ規制に反対している通信業界も混乱に見舞われるだろう。ファーウェイに半導体を供給しているサプライヤーの幹部は「ファーウェイは米国製の主要部品が手に入らなければネットワーク用サーバーを製造することができず、米国以外の国からの部品調達も停止するだろう」と述べた。ファーウェイはスマホについては社内で部品をそろえることができるが、サーバーやネットワークの分野では事情が異なるという」

 

下線を引いた部分は、まさにファーウェイの弱点部分である。「5G」も米国の複数のIT企業の協力の下で進められていた。米国政府は、この事実を把握しているので「一撃」を加えたもの。米国の首を狙う敵に塩を送る必要はない。そういう、いとも簡単な判断である。

 

 (3)「米国によるファーウェイの規制リスト追加は中国の5Gにとっても「悪夢だ」と指摘。中国は来年中に5Gを全国展開する目標を掲げているが、ペースが遅くなりそうだとした。ファーウェイは、米政府に協力する用意があり、製品のセキュリティー確保のために実効性のある手立てを講じると発表したNHインベストメント&セキュリティーズのアナリスト、ドー・ヒュンウー氏は「最大の懸念は、ファーウェイ製品を使っていた米国の同盟国が、米国の顔色をうかがってファーウェイとの取引を打ち切ることだ」と述べた」。

 

下線の部分は、「今さら」という感じである。ファーウェイ当局は、米政府を訴えているほか、数々の悪態をついてきた。その請求書がファーウェイに回ったという感じだ。中国政府と同様、ファーウェイも長期的視野が欠けている。

 

(4)「中国に進出している米ハイテク企業の関係者は、『米国はファーウェイを徹底的に叩くと決めたようだ。問題は、当面は米中貿易協議で妥結の見通しが立たたないため、米国がファーウェイの抹殺を急いだ点だ』と話した」。

 

このパラグラフは,きわめて重要な部分である。米国は、ファーウェイ抹殺を狙っている。これは事実だろう。米国が禁輸措置をとれば、数年内に技術的に行き詰まる。そう見ているのだ。中国が、「中国製造2025」を放棄しないのなら、その中核企業であるファーウェイを潰すだけ、という明白な意図が浮かび上がる。米国の怖さはここにある。私が、かねがね指摘している点だ。