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韓国には、中国のファーウェイとライバルのサムスンが存在する。それにも関わらず、韓国政府は、ファーウェイを重視するような素振りを見せている。文政権が、「親中朝・反日米」路線に立っていることを図らずも示している。

 

米国トランプ政権は、ファーウェイの安全保障上の危険性について、韓国政府に数度も連絡してきたが、中国政府に気を遣って無言を貫いていると言う。米国は、サムスンをファーウェイに代わる企業として東南アジアで売り込む、とまで言われながら動かない。自国企業は「財閥企業」のレッテルで忌避し、中国のファーウェイをありがたがる。矛楯している行動だ。

 

この背景には、中国と韓国の経済的な関係もある。韓国にとって対中輸出が1位である。だが、豪州やニュージーランドも事情は同じだが、ファーウェイ排除に動いている。日本も同じである。経済よりも安全保障が第一のはずだ。韓国は、朝鮮戦争でその重要性は最も痛感しているはずである。ましてや、中国は侵略国。米国との同盟国でありながら、肝心の所でスルリと逃げる。韓国人の欠点であろう。

 

『朝鮮日報』(5月24日付け)は、「米中対立に巻き込まれる韓国、政府はまた無策なのか」と題する社説を掲載した。

 

米中貿易戦争の波が韓国へも急速に押し寄せつつある。米国政府が最近、韓国政府に対し「ファーウェイ追放」に賛同してほしいと数回にわたって要請していたことが確認された。韓国外交部(省に相当)は23日、「米国側が5G製品のセキュリティー確保の重要性を(韓国側に)強調した」とコメントした。米国が対中攻撃の第一のターゲットにしたファーウェイの通信装置や製品を、ほかの同盟国のように韓国も買うなというのだ。

 


(1)「日本の看板企業ソフトバンクとパナソニックに続き、世界の半導体設計の70%を引き受けている英国ARMも、ファーウェイとの取引を中止すると決めた。傍観していたドイツのインフィニオンも、米国で生産する半導体にかぎって、ファーウェイに供給しないと決めたといわれている。銃声なき「第3次世界大戦」という表現まで飛び出している。韓国は、日本・豪州・英国などと立場は同じではない。韓国の対中輸出の比重は米国・欧州連合(EU)・日本を合わせたよりも大きい。2017年は1421億ドル(現在のレートで約156000億円。以下同じ)で、輸出全体の4分の1を占めた」

 

 

ファーウェイは、米国企業の技術とソフトから切り離されれば、一介の企業に過ぎない。中国人民解放軍の「ダミー」であることは明白だ。民営企業を名乗っているが、実態は国有企業である。朝鮮戦争で国土を蹂躙された韓国が、中国を忖度する必要はない。自国企業のサムスンの利益が国益になるという認識が欠如している。

 

ファーウェイが、生き延びられるか微妙な段階になっている。米韓同盟の原点に戻って考えることだ。事大主義は捨て去るべきである。朝鮮戦争に加担した中国に塩を送る必要はないのだ。

 

(2)「こうした経済構造の中で韓国がファーウェイ製品を拒否したら、中国の報復対象になりかねない。米・日・欧に報復する適当なカードがない中国が、韓国を標的にする可能性はないとは言えない。米国トランプ政権は、中国の台頭をこれ以上傍観しないという確固たる戦略を立てて実践している。ファーウェイ戦争は、米中覇権競争の一断面だ。米中が露骨な覇権競争に入った以上、「安全保障は米国と、経済は中国と共に」という形の戦略は通じ得なくなりつつある。米国は、経済的利益の問題ではなく「安全保障上の脅威」を理由にファーウェイを制裁した。韓国がファーウェイの「出口」役を果たすとなると、米国は「韓国が米国の安全保障と国家戦略を妨害している」と感じるようになる」

 

米国の対中国戦略は、覇権戦争の一環である。国際情勢の変化を深く読むべきである。

 

(3)「米中の間で、韓国の動ける幅が狭くなることは避けられない。しかしその狭い道の中に活路を見いだし、国益を開拓するのが政府の役割にして責任だ。難しいと言って手をこまねいていたら、それは政府ではない。「金正恩(キム・ジョンウン)ショー」に傾ける努力と真心の数分の1でも、この重大な国家懸案に注ぐことを望む」

 

下線の部分は、強烈な皮肉である。文政権の本心は、朝鮮戦争を侵略戦争と見ていないのだろう。北朝鮮の「韓国解放戦争」という解釈に立っている節がある。韓国左翼は、明確にこの立場だ。韓国進歩派は、総じてこの線に近い。米国は、獅子身中の虫を抱えている。