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日韓関係は、最悪事態を迎えている。文大統領の日本嫌いが原因だ。個人感情が外交関係に影響を与えるケースである。何とも不思議な話である。国益増進が外交の目的だが、文大統領はそうでないらしい。

 

文氏は、海外の国際会議で安倍首相に二度、先に声をかけたという。たまたま、同時に他国の首脳も安倍氏に声をかけ、文氏の声に気付かなかったようだ。それを根に持って、「安倍嫌い=日本嫌い」へとつながったようだ。幼稚な話である。

 

ことの経緯はどうあれ、日本に生活する韓国人は、日韓関係悪化の強い影響を受けている。そこで、文政権の対日政策と対北朝鮮政策に反対する集団を立ち上げた。

 

『朝鮮日報』(5月25日付け)は、「民団元幹部ら、反文在寅政権団体を立ち上げ」と題する記事を掲載した。

 

(1)「在日韓国人社会の主軸である在日本大韓民国民団(民団)の元幹部らが、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の対日政策と対北朝鮮政策を批判する団体を新たに立ち上げた。かつて民団で副団長や支部長などを歴任した彼らを中心とする『大韓民国の自由民主主義を守る在日協議会(韓自協)』は25日、東京都内で結成大会を開いた」

 

日本社会から韓国政治を見ていると、大きな危機感を持つのであろう。日本人の私ですら、韓国は重大な段階にあると見る。就職難がもたらす結婚難。それが出生率を異常なまでに低下させている。韓国社会では、この事実に気付いているか疑問だ。出生率対策は、単純に出産のお祝い金を出すことでない。結婚可能な経済的な条件、出産後の子どもの教育費、母親が子育てと就職が両立できる制度。そういう諸々の条件整備が不可欠である。

 

そういうきめ細かい対策を行なわず、やっていることといえば、日本の過去を穿り返して、賠償や謝罪を求めて、日本と鋭い対立を再燃させている。その対極では、北朝鮮への過剰傾斜によって、韓国の自由主義と民主主義を骨抜きにする動きを始めている。小学校の教科書では、全面的な書き換えを行い、「漢江の奇跡」が象徴する高度経済成長という歴史的な事実まで抹消する始末だ。民団の人々が、母国のこの異常な動きに危機感を強めるのは当然だろう。

 

(2)「韓自協準備委員会は結成趣旨分の中で、『文在寅政権は経済政策の相次ぐミスで国民の不満を高め、政権維持の基盤として親日清算を掲げることにより国民の間で葛藤をあおり、未来志向の関係を構築してきた韓日関係を破綻に追い込んでいる』と主張した。さらに『文在寅政権は北朝鮮に対する制裁を解除し、金正恩(キム・ジョンウン)政権を延命させ、韓半島(朝鮮半島)の平和に必要な韓米同盟を破綻させようとしている』とも訴えた。韓国大法院(最高裁に相当)が徴用被害者に対する賠償を命じてから6カ月、この問題に文在寅政権が何の対応も取らないことに在日韓国人社会の間で不満が広がっていた」

 

文政権は、北朝鮮との統一を目指して動き始めている。だが、国内経済の疲弊を見れば、韓国が、北朝鮮との統一費用を賄えるとは思えない。南北統一を実現したいならば、まず国内景気の立て直しに全力を投球すべきである。文政権には、そういう政策実施の優先順位が確立せず、感情のままに政策を発動させている。はっきり言えば、政策が余りにも素人であり、ランダム過ぎるのだ。

 

(3)「韓自協の共同代表を務めるキム・イルウン元栃木県民団団長は本紙との電話インタビューで『我々は反大韓民国団体ではなく、反文在寅政権団体だ』とした上で『文在寅政権の対日政策が今後も続いた場合、最終的に大きな被害を受けるのは在日韓国人だ』と述べた」

 

海外にあるこうした団体が、母国政府に反対の狼煙を上げるのは珍しいであろう。それだけ、日本社会の「嫌韓」感情を肌で感じているに違いない。