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昨日の「私のつれづれ日記㉑」は、多くの読者に読んでいただいた。重大な内容だが、ごく一部分しか取り上げなかったので、改めてファーウェイ「5G」は、いかに危険性を帯びた「毒薬」であるかを明らかにしたい。トランプ大統領は後世、中国の陰謀から世界を救った、という評価を受けるかも知れない。それほど、歴史的な業績となろう。

 

『ロイター』(5月21日付け)は、「ファーウェイ排除の内幕、激化する米中5G戦争」と題する記事を掲載した。

 

2018年初頭、オーストラリア首都キャンベラにある低層ビル群の内部では、政府のハッカーたちが、破壊的なデジタル戦争ゲームを遂行していた。オーストラリア通信電子局(ASD)のエージェントである彼らに与えられた課題は、あらゆる種類のサイバー攻撃ツールを使って、対象国の次世代通信規格「5G」通信網の内部機器にアクセスできた場合、どのような損害を与えることができるか、というものだ。

 

(1)「このチームが発見した事実は、豪州の安全保障当局者や政治指導者を青ざめさせた、と現旧政府当局者は明かす。5Gの攻撃ポテンシャルはあまりにも大きく、オーストラリアが攻撃対象となった場合、完全に無防備状態になる。5Gがスパイ行為や重要インフラに対する妨害工作に悪用されるリスクを理解したことで、豪州にとってすべてを一変させた、と関係者は話す。それは5Gが電力から水の供給、下水に至るすべての必須インフラの中枢にある情報通信で必要不可欠な要素になることだ」

 

下線部分は重要である。北京から5Gに指令を出せば、忠実にそれを実行して、外国のインフラを攪乱させられる。そういう危険性がファーウェイの構築する5Gには忍ばされているという。しかも、ソフトはファーウェイが自在に操作可能にしている。白紙委任状とカギをファーウェイ=中国人民解放軍に預けるようなものである。言葉は悪いが、泥棒に玄関のカギを預ける行為でもある。

 

(2)「世界的な影響力拡大を目指す中国政府の支柱の1つとなった創立30年の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する世界的な締め付けを主導したのは、米政府だと広く考えられている。しかし、5Gを巡って実際に行動を促したのはオーストラリアであり、米国の反応は当初鈍く、英国など欧州諸国は、安全保障上の懸念とファーウェイの誇る低価格競争力の板挟みになっていたことが、ロイターの20人を超える現旧西側当局者への取材で明らかになった」

 

ファーウェイの「5G」が低価格であるのは、中国政府の補助金によるもの。「5G」のスパイ性を考えれば、いくら補助金を出しても「元が取れる」ことは明らかだ。

 

(3)「昨年半ばまで、米政府は、ほとんどこの問題に「関心を持っていなかった」と、オバマ前政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたジェームズ・ジョーンズ元海兵隊大将は指摘する。米政府高官が行動へと突き動かされたのは、5Gが何をもたらすかが、突如として明らかになったためだ、とジョーンズ氏は言う。5G技術への理解は「極めて急激に深まった」と同氏は言う。「ほとんどの人は、革命的というよりも漸進的な変化だと考えていた。今や、その実態が明らかになった」

 

中国が、「5G」の性能について最もよく理解しておりその、「応用=悪用」戦略を立てていたはずだ。今にして思えば、習氏が2050年頃に世界覇権に挑戦すると宣言した裏には、この「5G」による乗っ取り作戦が組み込まれていたのであろう。

 


(4)「習近平国家主席の下で軍事力を拡大する中国をけん制する幅広い取り組みの一環として、米国は積極的にファーウェイの封じ込めに取り組むようになっている。2012年に共産党総書記の座についてすぐに習氏が始動した人民解放軍の改革において、サイバー能力の強化は重要な要素だったことが、米政府当局者や中国軍の関連書類で明らかになった」

 

習近平氏は、国家主席就任と同時に、サイバー作戦によって米中の軍事力格差を一挙に埋める戦術を立てていたのだろう。

 

(5)「もし、ファーウェイが世界の5Gに足場を築けば、中国政府は、重要インフラを攻撃し、同盟国間の共有情報に侵入する、かつてない機会を手中に収めることになる、と米政府は懸念している。これには公共施設や通信網、重要な金融センターに対するサイバー攻撃が含まれる、と西側の安全保障当局の高官は指摘する」

 

このパラグラフは、身の毛のよだつような話だ。自由世界が、習氏の「5G」戦術を気付かなかったら、どうなっていたのか。改めて、中国に対して絶対に心を許せない事情が理解できるだろう。

 

(6)「どんな軍事衝突においても、衝突エリアから遠く離れた場所に対して銃弾や爆弾を使わず、封鎖もなく経済的な損害を与え、市民生活を寸断できるこのようなサイバー攻撃は、戦争自体の性質を劇的に変化させることになる。もちろん中国にとっても、米国やその同盟国からの攻撃にさらされることになる」

 

サイバー攻撃が、戦争の質を変えるだけでなく、「5G」を使ってテロも警戒しなければならない。独裁政権の存在は、世界の安全コストを限りなく押上げるのだ。独裁中国が存在することは、それだけで世界の安全を脅かすことになりかねない。中国の民主化が、唯一の解決策となってきた。