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韓国の文在寅大統領は、日本批判が大統領職の主要任務とでも思っているらしい。親日=積弊と、74年前の日本を俎上に取り上げて批判している。韓国大法院(最高裁判所)まで、文氏の口車に乗っている。

 

韓国はどこへ行くのか。私は率直に言って「絶望」と見る。他国の未来をこのように予測するのは、はなはだ僭越であるが、一通りの経済常識を持ち合わせている者ならば、誰でもそのように見るはずだ。それほど、衰亡の兆候を数々抱えている。しかし、韓国でそういう議論を聞いたことがない。

 

だいたい、70年以上も過去の話を、さも昨日起こったように扱い日本を糾弾している。一方で、日本が朝鮮半島に築いた近代国家への礎石について一切、口をつぐんでいる。こういう、アンバランスな国民がほかにあるだろうか。日本との関係が上手くいかない以上、日韓の経済連携はあり得ない。孤立して行くに違いない。韓国衰退論の有力根拠である。

 

日本は、米国から原爆2発を投下されたが、「原爆反対」という一般論で対応している。韓国流の対応であれば、「反米闘争」になろう。朝鮮戦争で救ってくれた米国を批判し、侵略してきた中朝に親近感を持つ。文大統領を筆頭に、まさに「価値倒錯」の国家である。こういう国家との外交は、至難をきわめる。日韓関係が、すでにこの状態である。

 

『韓国経済新聞』(6月10日付け)は、「1945年以前の日本との戦い、もう終える時」と題するコラムを掲載した。

 

日本は安倍首相が執権した後、軍事力を強化してきた。「かが」と「いずも」を空母化して垂直離着陸が可能な米国の最先端戦闘機F-35Bを42機も搭載する予定だ。これとは別にF35A戦闘機105機を導入して空軍力も増強する。米国を除いてF35戦闘機を最も多く保有する国となる。

(1)「こうした日本の急浮上を我々はどう受け止めるべきか。我々の記憶の中には2つの日本がある。「1945年以前」と「その後」だ。1945年以前の日本は主権を奪っただけでなく、韓国語も使用できないようにした。さらに韓国人の姓名までも変えた」

 

日韓併合末期に朝鮮語の使用を禁じたが、それ以前は日本語と朝鮮語を教えている。姓名の変更(創氏改名)は1939年以降。強制ではない。任意であったので約8割にとどまった。このように、歴史的事実を歪曲して伝えている。

 

(2)「1945年以降は平和と繁栄の時期だ。韓日国交正常化(1965年)以降、両国関係は急速に発展した。サムスン電子や現代自動車など多くの企業が日本企業から技術を学んだ。2002年ワールドカップ(W杯)共同開催もいい思い出となった。しかし我々を支配するのは「1945年以前の悪い記憶」だ。民族主義性向が強い文在寅(ムン・ジェイン)政権に入って慰安婦合意の事実上破棄、最高裁の強制徴用被害者賠償判決が出てきた。痛恨の歴史が外交懸案としてよみがえった。我々はいま「1945年以前の日本」と戦っている」

 

日本が、朝鮮の近代化に貢献した良い記憶は、すべて「忘却の彼方」である。悪い記憶は、歪曲し増幅して伝えている。台湾国民と全く違う対応である。朝鮮は、なまじ儒教国の誇りで、日本を野蛮国扱いして溜飲を下げている。これが、良い記憶を忘れさせている理由だ。

 

知識偏重の儒教国家は、近代化を阻止するアンバランスな要素がゴマンとある。中国と韓国が、その弊害を一身に背負い込んでいる。その自覚がゼロなのだ。今なお、70年以上も昔にこだわるのは、良かった記憶を強制的に消去した政治運動の結果だ。その意味で、文大統領は、日韓関係破壊の張本人というべきだろう。

 

(4)「日本の現在の姿はどうだろうか。世界最高水準の高齢社会だ。1990年代以降の長期沈滞で社会全般の活力が大きく落ちた。今の国際秩序を変えなければいけない必要性は感じない。安倍首相になった後、自衛隊を強化して平和憲法の改正を推進しているが、日本国内でも憲法改正を反対する世論が依然として多い。軍国主義に陥る可能性はほとんどないと見るのが現実的である。 それでも韓国の多くの人々は日本を『未来の敵』と考えている。半面、社会主義独裁国家の中国には親近感を感じている。韓国と日本をともに同盟国とする米国としては困惑するしかない

韓国は、日本を「未来の敵」と位置づけているならば、歯を食いしばり日本へ「通貨スワップ協定を締結してくれ」などと泣き言を言うべきでない。大言壮語するならば、それらしく振る舞うことだ。

 

(5)「米国と中国の経済戦争が武力衝突に発展すれば、その地域はアジアとなる可能性が高い。中国の急膨張を抑えているのが日本-台湾-フィリピンとつながる『太平洋第1列島線』だ。この地域には米軍基地が多い。韓国も当然含まれる。しかし韓国と日本の関係は史上最悪水準だ。今月末に大阪で開催されるG20(主要20カ国・地域)首脳会議で文大統領が安倍首相に単独で会うかどうかが関心事に浮上している」。

韓国大統領は、「未来の敵」である日本の首相に会うまでもあるまい。「言行一致」である。日本は昨年12月、安全保障上のパートナーとして韓国を5位に下げた。それまでは、2位であった。日本が、頼りにならない韓国を当てにするのは無益である。日韓関係は、既に破綻している。断交しないだけの関係だ。別居状態である。