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中国経済が末期症状であることは、家賃の高騰に現れている。これが、社会主義経済の素顔である。不動産投機を煽りに煽ってGDPを押し上げてきたが、そのツケは家賃高騰にはね返っている。自業自得とはいえ、これが個人消費を抑制し貯蓄率を引下げる要因となってきた。貯蓄率低下は、銀行の貸出能力(信用創造能力)を引下げて、貸出額のブレーキになる。

 

家族世帯でも不動産価格高騰による住宅ローン返済が、家計所得を圧迫している。これが、個人消費の伸びを抑える有力な要因である。中国経済がこれから急減速する要因として、不動産バブルの後遺症があることは確実だ。これに、米中貿易戦争の要因が加わる。輸出減・設備投資減・雇用減などが、軒並み中国経済の圧迫要因となる。

 

『人民網』(6月9日付)は、「家賃が所得に占める割合ランキング、北京・上海・深圳は給料のほとんどが家賃に」と題する記事を掲載した。

 

(1)「諸葛找房データ研究センターがこのほど発表した報告によると、中国の一線都市のワンルームマンションで一人暮らしをすると、所得の約6割を占める家賃を支払わなければならないとしており、北京や上海、深圳となると、その割合が9割以上にまで上昇する。ルームシェアの場合でも、一線都市では所得の30%以上を占める家賃を支払っているのが現状だ。一財網が伝えた」

同報告の家賃は、2019年4月のデータを基にしているのに対して、所得は中国統計局が公表している2018年都市部・農村部の住民の平均所得を基にしている。

北京・上海で所得の9割を家賃が占めたら、どうやって生活するのか。こういう生活者を無視した現実が出現したのは、市場経済でない結果である。市場経済=需給バランスが原則であるから、所得の9割を占める家賃が出現するはずがない。土地国有に伴う住宅供給独占がもたらした一大弊害だ。土地国有制度の結果というほかない。この裏には、地方政府の財政逼迫要因が働いている。軍事費拡大が、中央政府予算に食込んで、地方政府予算の面倒を見るゆとりがないのだ。

 


(2)「報告によると、北京、深圳、三亜、上海の4都市では、1人で1つの物件を借りた際に家賃が所得に占める割合が他の都市を大きく上回っており、90%以上に達している。三亜や廈門(アモイ)などの人気観光都市では、ルームシェアの場合でも家賃が所得に占める割合が高くなっている。杭州や大連、重慶、哈爾浜(ハルピン)なども、割合が高い都市ランキングで10位以内にランクインしている」

 

大連やハルピンという東北3省が、高家賃ランキングに入っている点に注目すべきだ。経済状況の良くないこれら都市の家賃高騰は、地方政府の財政逼迫が原因である。土地払い下げ価格を無理に引き上げ、住宅価格を押上げた結果だ。

 

(3)「ワンルームマンションの家賃の絶対値を見ると、3000元(約4万8000円)が分かれ目となっており、1カ月の家賃が3000元以上の都市は全て家賃が所得に占める割合ランキングでトップ10に入っており、家賃が大きな負担となっている。所得から家賃を引いた後の可処分所得ランキングでは、経済が発展した長江デルタ経済圏の都市が1~5位を占め、珠江デルタの中山や仏山、東莞も家賃が所得に占める割合が高くなっている」

ワンルームマンションの家賃が、1ヶ月5万円以下というのは、日本ではどの地域の水準になるのか。1LDKで調べると都内では、八王子か町田の三多摩地域である。ここが、北京・上海レベルになるようだ。中央区・千代田区・港区は15~18万円である。