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日本では、人民元預金をする話は聞かないが、韓国では人気の預金である。利息の高いのが魅力だ。最近は、1ドル=7元割れの人民元安を見込んで、ドル預金へ乗り換えている。韓国市民の為替戦略が動き出した。

 

『中央日報』(6月11日付)は、「1ドル=7元突破するか、ドル高人民元安にベッティングする投資家」と題する記事を掲載した。

 

米中貿易対立の谷間が深まり大手銀行の人民元預金が今年に入り13億元近く減ったことがわかった。ドル建て預金はこの2カ月間で12億ドルほど急増した。両国間の貿易紛争が「為替戦争」に拡大する兆しを見せる中で「ドル高人民元安」にベッティングする投資家が増えているものと分析される。

(1)「6月10日の金融界によると、新韓銀行、国民銀行、ウリィ銀行、KEBハナ銀行、農協銀行の大手銀行5行の5月末の人民元建て預金残高は定期預金と普通預金合わせ51億7683万元(約811億円)となった。昨年11月の64億6857万元から20%ほど減少した。6カ月で13億元近くが流出した。ドル建て預金残高は3月の347億1897万ドル(約3兆7679億円)から先月末には358億9041万ドルに増えた。2カ月で12億ドル近く増加した」

 

人民元預金からドル預金へシフトしているのは、人民元安を見込んだ結果だ。

 

(2)「 都市銀行関係者は、『人民元建て預金の金利の方が高いのにドル建て預金に需要が集まるのは預金者がドル高の可能性を高いとみているという意味』と話した。都市銀行の人民元建て預金の金利は最高年2%台半ばで、ドル建て預金金利の年1%台後半より0.5ポイント以上高い」

 

人民元預金とドル預金の金利差は、0.5ポイントも人民元が高い。だが、為替相場の変動が金利差をカバーする以上の人民元安になれば、為替益が十分に補ってくれる。過去の動きでは、1ドル=7元割れになると一挙に人民元安に拍車がかかっている。こういう、過去のパターンも見越しているのだろう。


(3)「米中貿易紛争で触発された通貨価値の変動性が「外貨大移動」をあおっているというのが金融界の分析だ。人民元相場は昨年12月の米中首脳会談以降に緩やかな下降線を見せていたが最近は貿易対立が激しくなり短期急騰して1ドル=7元台に迫った。人民元の価値がそれだけ下がったという意味だ。人民元相場が1ドル=7元を超えれば2008年金融危機以降10年以上ぶりだ」

下線のような動きになれば、投機筋が仕掛けてくるのは確実であろう。中国株売りも加わって、騒ぎが大きくなる可能性を秘めている。海外の株式投資家は、大量の中国株を売却した。すでに、年初来の値上がり益をキャッシュで確保した。

 

(4)「ドル建てと人民元建て預金の動きは交錯している。今年に入って起きた米中貿易紛争の影響が大きい。一寸先が見えない不安は代表的安全資産であるドル需要を増やした。これに対し両国の対立が長期化しかねないという見通しは人民元を手放させる要因だ。米中貿易紛争が為替相場に広がればこうした流れが当分続く可能性があると分析される。銀行界も方向を定めた。ドル建て預金顧客の引き留めに総力を挙げている。下半期が外貨預金の「分水嶺」になるだろうとの見通しが出ている」

韓国の投資家は、米中貿易戦争の長期化を見込んでいるという。これが、為替相場面にも反映し始めたことは、中国にとっては負担になる。中国の外貨準備高3兆1000億ドルには、1兆ドルの海外債務が含まれている。人民元安の定着は、ドル資金の流出を招き外貨準備高崩しにまで進むと、さらに人民元安を加速させるであろう。