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現在の韓国外交は、混迷の極にある。日米中の三カ国との外交関係が軋みを見せているからだ。ファーウェイ問題を巡って米中による綱引きの中で、政府自らが立ち位置すら決められず、企業に任せるという最悪状態だ。日本とは、徴用工問題と慰安婦合意を巡って決裂状態にある。

 

李朝末期もこの状態にあった。李朝は、日本派、清国派、露西亜(ロシア)派の3派に分かれ、それぞれの国家と関係を深めて対立状態に置かれた。ここで米国と日本が話合い、日本が朝鮮の外交権を握るという、朝鮮の屈辱的な事態が起こった。これが、後の日韓併合の出発点になったのだ。

 

現在の韓国が、日本を蛇蝎(だかつ)のように嫌う原因は、朝鮮自らがつくり出した側面も大きい。こういう外交的な指摘は韓国にないのだ。日米で話合い、日本が朝鮮の外交権を握った背景には、露西亜が朝鮮半島を足がかりに太平洋へ進出する。それを日米が、最も恐れたのだ。

 

『中央日報』(6月7日付)は、「1905年の東京、2019年の東京」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のイ・ジョンミン論説委員である。

 

(1) 「韓国が排除された日米の癒着は危険の兆候だ。過去の歴史がそれを見せている。日帝(日本帝国主義)に国を奪われた100余年前、韓国は「国際孤児」だった。日本は高度な外交術で中国・米国・英国・ロシアをうまく料理して、韓半島から一つずつ手を引かせた。韓国を国際社会から孤立させて強大国の外交的介入を封じ込めたのだ。桂・タフト密約がその決定版だ。1905年7月、ルーズベルト大統領の特使としてフィリピンに向かったタフト(陸軍長官)は東京に立ち寄って桂太郎(内閣総理大臣)と密談する。公式外交文書も、協定もない秘密対話にすぎないが、韓半島(朝鮮半島)植民統治の端緒になった歴史的事件だった。『日本が米国のフィリピン支配を認める代わりに、米国も日本の韓半島支配を承認する』であった」
 

形の上で当時、日本外交がアジアの軸になっていた。欧米各国にとって、日本だけがまともな外交交渉の相手になれる識見と国力を持っていたからである。現在の韓国はどうだろうか。110年前と似通った位置にある。米中の間で右往左往して物事を決められない。日本に対しては、内心で「儒教上の野蛮国」扱いである。文大統領の「親日積弊」が、それを物語っている。韓国は、日米中三カ国との外交関係で、孤立していることが明白である。

 


『中央日報』(6月11日付け)は、「日本は二股外交で生きる道を模索中、韓国はまだ『対策』検討」と題する記事を掲載した。

 

(2)「韓国が米中の間で右往左往している間に、日本は米中の二股外交を駆使して成果を出している。安倍晋三首相は12日、イランを2泊3日間の日程で訪問する。「イラン核合意」問題で対立している米国とイランの間の仲裁者としての訪問だが、それだけトランプ大統領の信頼の深さを示している。2017年1月のトランプ大統領の就任以降、両首脳は合計10回、22時間45分間の首脳会談を行った」

 

日本外交を二股と表現しているが間違いだ。外交の本旨は、「二股」「三股」「四股」である。どこの国とも実利外交を展開したからと言って、貶(けな)されることでない。日本は、日米外交が基軸になっておりぶれないから、他国も日米の緊密な関係を前提に外交を行うものだ。

 

韓国が、「二股外交」と非難されるのは、「安保は米国、経済は中国」と分ける便宜主義にある。正体不明のヌエで、批判される原因になっている。国際関係においては、中立が最も危険とされる。同盟国がいないから他国から甘く見られるのだ。

 

現在の韓国がそれだ。中国から見れば、最も攻めやすい相手である。中国にとっての日本は、米国と一体であるから最初から「諦めている」。韓国も、米韓の間に隙間をつくらず一体化して「フラフラ」しないことだ。

 

(3)「東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)領土紛争にまで高まっていた日中関係はほぼ正常化した。中国の一帯一路(新シルクロード戦略)事業に対して米国が快く思っていないにもかかわらず、昨年10月の安倍首相訪中時に同事業への参加を約束した。国家安保戦略研究院対外戦略研究室のキム・スッキョン室長は、『米国にすべてを出すように見せながらも、実利のためには中国ともためらいなく分野別に提携するのが日本スタイル』と話した」

 

下線を引いた部分は誤解である。日本は、「一帯一路」に参加していない。参加すると誤解されるので「第三国市場」という名称のインフラ投資プロジェクトを立ち上げている。日本の中国への警戒心が強いことは、中国も認識している。それ故中国は、日本に対しては節度ある姿勢を取らざるを得ない 。韓国も、中国にこういう態度を取らせるように毅然とすることだ。デレデレしていては、中国からいつまでも粗略な扱いを受けるだけである。