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米海軍から見れば、生まれてホヤホヤの中国海軍が「大きな顔」で空母を従えて航行するようになった。一度の大戦経験もなく、「オモチャの海軍さん」である。清国時代、英国製の最新鋭艦4隻を従えて、清国海軍は長崎まで二度もお目見えした。

 

日本の戦意を挫くためだった。日本は急遽、軍艦をつくり清国への対抗にたち上がった。日清海戦では、清国の最新鋭艦も役立たず日本海軍に撃破され、戦場から無断で離脱する艦船まで現れた。兵士の戦意が上がらなかったのだ。こういう歴史を持つ中国公船が、やたらと尖閣沖合に現れている。清国海軍と同じデモンストレーションであろう。それでも油断していると、漁船に武器を積んで尖閣諸島への強襲をやりかねない。隙を見せられない相手だ。

 

『日本経済新聞 電子版』(6月11日付)は、「中国公船相次ぐ尖閣航行、60日連続で最長 関係改善の陰で、米中摩擦で国内に不満」と題する記事を掲載した。

 

中国の公船が沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に侵入したり、すぐ外側の接続水域を航行したりする事例が相次いでいる。航行の確認は10日時点で60日連続に達し、20129月に日本政府が尖閣を国有化して以降、最長を更新している。日中関係が改善基調にある一方、こうした活動が活発になっている背景には中国の国内事情が透ける。

 

(1)「尖閣の領有権を主張する中国は日本の国有化以降、公船34隻を接続水域に航行させ、月に数回のペースで領海侵入をくり返している。昨年の領海侵入は月12回程度だった。12月には国有化以降、初のゼロとなった。昨年10月に安倍晋三首相が習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談して「競争から協調へ」などを打ち出した後だったため、日本側では「関係改善の成果だ」との見方が出ていた」

 

中国は、油断できない。その証拠は、尖閣諸島沖合で公船に領海侵犯を繰り返させている事実に見られる。日本が隙を見せたら強襲してくる相手だ。日本は、こういう中国と無条件の友好が成り立つと、信じている人がいるから不思議だ。

 


(2)「再び活発な活動に転じたのは今年に入ってからだ。領海侵入回数が1月以降は月3回に増え、5月は4回に上った。1カ月間の侵入回数が4回以上になるのは6回だった168月以来だ。中国公船を管理する海警局は187月に中国軍の最高指導機関、中央軍事委員会の指揮下にある人民武装警察部隊(武警)に編入された。相次ぐ侵入は軍事作戦の可能性も否定できず、日本側は警戒を強めている」

 

中国公船が、中国軍の最高指導機関、中央軍事委員会の指揮下の武警に所属している。この事実は重要だ。習近平氏の息のかかった直属組織の指揮下にあることは、領海侵犯が中央軍事委員会承認の下に行われている意味である。いつ、強硬策に転じてくるか分らない。こういう不気味な相手と「ニーハオ」と表面を取り繕って付き合う。神経が疲れるに違いない。

 

最近、米国は米中貿易協定の交渉に疲れてきたという。いくら話してみたところで理解できない相手だ。それならばいっそのこと、中国と経済的に没交渉になろうという戦術に転換した。日本も、尖閣諸島沖合で、睨み合っていることの無益さを悟り、中国経済の疲弊を促進する政策に転換すべきだ。中国の経済力を引下げれば、こういう無駄な領海侵犯を控えるに違いない。

 

(3)「中国の政治日程を巡る事情も影響しているとの見方は多い。習指導部が今年最も重視するのが、建国70周年にあたる101日の国慶節(建国記念日)だ。北京市で盛大な軍事パレードを実施する予定で、国威を発揚し習氏の求心力を高める一大行事と位置づける。習指導部は国慶節に向け、領土問題を巡って強い姿勢を打ち出している。国内では米中貿易摩擦の長期化などのあおりで中国経済の減速が続くのではないかとの懸念も出ている。周辺国への強い態度には世論の不満をそらす狙いもにじむ」

 

下線部分に、軍備拡大の無益さが滲んでいる。習氏の求心力を高めるべく軍事パレードを行う。まさに「オモチャの海軍さん」である。早く、米中の覇権争いに決着を付けさせるべく、中国経済衰退速度を早める引き金を引くことだ。中国経済の孤立促進である。