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中国の自動車販売は、5月の出荷ベースで前年比16.4%減に落込んだ。実際の販売ベースでは、さらに落込んでいると見られる。販売ベースのデータは、まだ発表されていない。

 

『ロイター』(6月12日付)は、「中国自動車販売5月は16.4%減、11カ月連続の前年割れ」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国汽車工業協会(CAAM)が発表した5月の自動車販売台数は、前年同月比16.4%減少の191万台と、11カ月連続の前年割れとなった。4月は14.6%減、3月は5.2%減だった。景気減速や米国との貿易戦争の影響で2018年の販売台数は1990年代以降で初めて減少を記録した。 CAAMや販売ディーラーなどによると、中央政府が2020年までの順守を求めている新排ガス基準「国6」を一部の省が早めに導入したことも販売に悪影響を与えた」

 

最近3ヶ月の前年比減少率

3月  5.2%減

4月 14.6%減、

5月 16.4%減

 

月を追うごとに減少幅が大きくなっている。需要不振を表している。米中貿易戦争の影響や内需不振の影響が全面化している。国営新華社通信は5月27日、2019年の自動車販売台数は約2810万台と前年横ばいになる見通しと報じたが、あり得ない楽観論と言うべきだろう。

 


(2)「新エネルギー車(NEV)の販売は引き続き好調で、5月は1.8%増の10万4000台。NEVの昨年の販売は約62%増加した。深刻な大気汚染への対応の一環で中国政府は、ハイブリッド車、プラグイン・ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車といったNEVを推奨しており、自動車メーカーに販売の一定割合をNEVにするよう義務付けている。5月の販売は、トヨタ自動車とホンダが2ケタの伸びを記録したものの、それ以外は軒並み減少した。各メーカーは市場減速に値下げで対応している。アナリストは、それが長期的な収益性に及ぼす影響を懸念している」

 

全般的に不振の中で、トヨタとホンダが増加した。ホンダが37.%増、トヨタは12.%増と好調だった一方、日産は4.%減で明暗が分かれた。

 

トヨタは6月7日、これまで2030年までに世界で550万台以上としていた電動車の販売目標の達成時期を5年前倒しすると発表した。主戦場は中国である。ハイブリッド車(HV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)など電動車の普及拡大に対応するため、電池の調達で中国の寧徳時代新能源科技(CATL)など5社と協業する計画も明らかにした。協業先はCATLのほか、BYD(比亜迪)、GSユアサ東芝豊田自動織機。5社と連携することで電池性能の向上に向けた開発を進める体制を整える。