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習近平中国国家主席は、大阪G20への参加を表明していない。米国トランプ大統領は、習氏が参加しなくても、既定方針通り3000億ドル関税引上げを表明した。習氏は、米国を焦らして、譲歩させようという戦略か。あるいは、国内事情で参加表明できない事情でもできたのか不明である。

 

『ブルームバーグ』(6月15日付)は、「トランプ氏、中国習主席がG20で会談に応じるかは重要ではない」と題する記事を掲載した。

 

(1)「トランプ大統領は14日、米中の首脳会談に中国の習近平国家主席が応じ、貿易協議を再開するかどうかは「重要ではない」と話した。米国には中国から巨額の関税が支払われるためだという。トランプ氏はFOXニュースに対し、習氏が「姿を現せば、それは良いことだ。一方、現れなかった場合は、毎月わが国に数十億ドルが入ってくる」とコメント。「中国はいずれ取引に応じる。そうするしかないからだ。何千億ドルも負担するのだから」と語った」

 

習氏が、G20参加を表明しないのでなく、「表明できない」のかも知れない。中国は、米中貿易協定への最終態度が決まらないのであろう。反習派が、結束して習氏の足を引っ張っている懸念があるからだ。

 

(2)「トランプ大統領は、「中国政府は自国産業を助成しているので、米国の市民に負担はない」とし、関税負担は中国の輸出企業にのしかかるとあらためて主張。「関税というと『わが国民につけが回る』という声が聞かれるが、それは全くもってでたらめだ。そう言う人は、どういった影響が出るか本当に知っているのだろうか。企業はそれで、国内に拠点を戻すようになる」と話した

 

米国が、第4弾の引き上げ3000億ドル(正確には3250億ドル)で関税率を25%以上に引き上げれば、中国経済は「壊滅」状況に追い込まれる。むろん、米国への影響はあるが、中国に比べれば「軽微」にとどまる。

 

米国内の議論では、関税引き上げ分がそのまま、米国内の価格引上げになるという想定で物価上昇率を計算しているが、それは間違いである。トランプ氏の指摘が正しい。米国のバイヤーが関税分を国内価格に反映させれば、売れないことは自明である。そこで、①輸入先を変える。②中国のメーカーに負担させる。それでも回避できない部分が、③米国内の価格引上げになるのだ。この前段を飛ばして議論するから、「世界不況論」になる。

 

中国からの輸出は、すでにベトナムやタイからの輸出などと肩代わりされている。中国の生産者価格が急速に鈍化している背景は、米国から値引き要求されている面の大きさを証明するものだ。中期的には、サプライチェーンの再編成が進む。中国から輸出製造業が他国へ脱出せざるを得ないからだ。それを承知で、中国は「最後まで戦う」と粋がっているが、自殺行為である。

 

習近平氏が、G20を欠席する場合はどうなるか。それは、トランプ氏の宣言通り、関税引き上げを実行するほかない。その場合、米国は利下げで対応できるが、中国には何らの対応策もない。レアアース輸出規制も効果は少ない。米国債売却案も有害である。完全に手詰まりに追い込まれている中国である。

 

中国は、意地を張るよりも米国案を受け入れ、国内経済の活性化に着手する方がはるかにメリットは大きいのだ。経済問題は、感情よりも理性で判断すべきである。「最後まで戦う」という範疇ではない。最後まで戦えば、敗者になるだけだ。