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けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

 

ファーウェイ問題の衝撃度

習近平が兵法「詭道」実践

半導体国産化に障害の技術

中国マネー切れ新技術断念

 

中国の習近平国家主席は、今月の28~29日開催のG20への出席について発表していません。6月16日現在の話ですが、開催まで10日余りしかありません。中国は、何が理由で公表が遅れているのか、関心が集まっています。

 

習氏は、G20での米中首脳会談を避けられません。となれば、米中通商協定に対する中国の最終方針が決まっていないことが、習氏の出席を発表できない理由と見るほかありません。中国は、米国といったんは合意しました。法律改正でそれを担保することに、国内事情で反古にしました。そうなった理由は、国内の反習派が結束したとされています。習氏に一泡吹かせてやれという政治的な思惑です。

 

中国の国内事情によって、図らずも米中が反目する。こういう予想できなかった事態に陥っています。これは、中国が政治的に複雑な事情を抱えている結果です。ただ、米中の通商交渉を妥結させず真空状態に置くことは、中国経済が一層混迷する事態になります。すでに、不動産バブルの崩壊に伴い、過剰債務が重圧になっています。そこへ、米中貿易戦争の重圧がかかると、二重の衝撃に見舞われるのです。

 

中国の反習派には、こういう経済的な混迷を正確に認識する能力に欠ける面々が加わっているように見えます。中国経済を混迷させ習氏の政治責任を迫る。そういう狙いかも知れません。そうだとすれば、もはや手の施しようがありません。

 


ファーウェイ問題の衝撃度

習氏にはもう一つ予想外の事態が発生しました。米国が、中国通信機メーカーのファーウェイ(華為技術)へ技術とソフトの輸出規制(事実上の禁止措置)を決めたことです。ファーウェイは、次世代通信「5G」で世界最先端を行く企業です。このファーウェイは、形式的に民営企業です。実際は、中国政府と深い関係があると警戒されています。

 

ファーウェイ製品には、「バックドア」が秘かに付けられており、ユーザーの知らないままに情報が中国へ流れていると指摘されてきました。「5G」は、情報インフラになることから、にわかに安全保障の危機として警戒されるに至りました。この点に、最初に気付いたのは豪州政府です。米・英・豪・日本・ニュージーランドがファーウェイの「5G」不採用を決めています。

 

米国が、ファーウェイを直撃した狙いは、中国政府肝いりのハイテク計画「中国製造2025」を潰すことにあります。ファーウェイが、「中国製造2025」を推進する中核企業である以上、ファーウェイ潰しが中国ハイテク計画進捗に重大な影響を与えるのです。

 

米国はなぜ、「中国製造2025」を目の敵にしたのか。それは、中国政府の補助金で研究開発が行われるというWTO(世界貿易機関)ルール違反に当るからです。しかも、中国はこのプロジェクトを通して、米国覇権への挑戦意図を臆面もなく公表したのです。中国が、米国の覇権を狙う、という口にしてはならぬことを喋ったことが、米国の警戒心を極大にまで引き上げました。米国はもはや、中国に「塩」を送る必要はない。徹底的に叩けというムードに変わりました。

 

中国の外交方針は、秦の始皇帝時代に実践された「合従連衡」と「孫子の兵法」(紀元前500年頃)に尽きます。「合従連衡」については、繰り返し説明しましたので省略します。形勢不利な秦が、ライバル6ヶ国を制圧し統一国家を実現(紀元前221年)した裏には、「孫子の兵法」にある詭道(きどう)を利用したと想像できます。兵とは詭道也=戦争とは敵を欺く道」です。

 

詭道は、現代中国においても基本中の基本手段になっています。常識では考えられない戦術を駆使しますが、中国の行動を冷静に見ると、見破れるのも事実です。初めて中国の戦術に出会った時は翻弄されます。二度目は、「またか」という訳で騙されないのです。この「二度目」こそ、現在の米国が見せている対中国戦略です。

 

米国は、30年前の「天安門事件」で、中国政府を人権問題として追及しませんでした。旧ソ連との対立を抱えていたという事情もあり、中国と同一歩調を取る必要があったのです。また、中国国内の改革派を後押しすれば、いずれ中国が民主化されるという期待がありました。あれから30年。習氏の国家主席就任で、民主化の希望はかき消されました。それどころか、米国の首すら狙う野心を見せ始めたのです。(つづく)